深夜ラジオ(ダン)
ふぁ〜と欠伸を一つ。
用を足っして、部屋に戻ろうとした廊下を歩く。すると、居間が薄明るい事に気付いた。

静かにドアを開け、中を覗き見るとテーブルに肘を付き、ラジカセを見つめている彼女の姿。


「なんや、まだ起きとったんか」


近付いて声をかける。
眠そうな顔の彼女は俺の方を見上げて、またラジカセに視線を戻す。


「うーん…」


眠そうな声が返ってくる。隣に座るとラジカセからは、流行りの音楽が小さく流れていた。


「はよ寝ぇや」


優しく諭すが彼女はラジオに耳を傾けたまま。


「1時から、好きなアーティストさんがゲストに出る番組あるの…」


だから起きる、と目を擦りながら必死に眠気を覚まそうとしている。時計を見ると午前0時30分。番組が始まるまであと30分。

こくりこくりと揺れる頭に手を置くと揺れが止まり「うぁー…」と小さく唸り始めた。
その頭を撫でて「起こしてやるから少し寝ぇや」と言うと観念したようにテーブルに頭を乗せる。


「ごめん、お願い」


おやすみ、と瞼を閉じた。
数分と経たないうちに小さく寝息を立てはじめる。ラジオからはウィンターソングが流れ始めた。
もうそんな時期か、と隣の寝顔を見つめる。


「幸せそうな顔してんなぁ」


すやすやと眠る顔を見て、口を綻ばす。
眉間に指を置くと皺が出来る。
ぶっさいくやなぁ。
そっと指を横にずらして前髪を分ける。

ラジオが始まるまであと20分。

起こさない様にそっと彼女の額に顔を近付けた。


(2018/1/17)
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