先程の管制室での出来事から仕事を終えて、部屋に戻っては起こったことを思い出していた。どういう意図であんなことをしていたのか私にはわからないが、思うことは、ただ一つ。
「……妹みたいな、ものかな」
自らの口から紡がれた言葉に自分で傷つく。いつの間にかドクター……ロマニ・アーキマンに対して、好きだという感情を持ってしまった私はドクターの行動で一喜一憂してしまう。ずっとこの感情は何なんだろうと前に考えていた時、ダヴィンチちゃんや立香ちゃんから「それは恋だよ」とニヤニヤしながら言われ、妙にストン、と胸のつっかえが取れた気がした。何が好きなのとか、そういうことを問われるとスッとはその部分が出るわけではないが、ひとつ言えるとすれば、何もかもが好き、ということだけ。相手からすれば一回り近く年齢が離れている私に対して好きだとかそういう感情は湧かないと思っているが、もし、もし。そんな感情を抱いてくれれば、と淡い期待を寄せたりなんかして。
「もう、完全に好きじゃん、これ」
自覚してしまったら最後。どうしようもない感情に襲われてしまって何とも言えない気持ちになる。
そんなことを考えていたらヤケに体が火照ってしまい、火照った体を冷まそうと部屋から出た。
「…ちょっと寒かったかも」
部屋着のまま、何も羽織らずに出てきてしまったからか、今の気温が少し肌寒く感じてしまう。
「………だよ」
角を曲がろうとしたところで、聞きなれた声がした。何となく見てはいけない気もしたが、見たい気持ち半分、見たくない気持ち半分。でも見たいという気持ちが僅かに勝ってしまい、コソっと様子を伺う。
思った通り、ドクターの後ろ姿と、多分女の子。背が低いからそうだと思う。見てはいけないものを見てしまっている気分になりつつも、つい見入ってしまう。
「──、───よ」
会話がよく聞こえないが、何か話しているのは確か。
どうしよう、
どうしよう、
そんな考えを他所に、ドクターの体は女の子の方へと屈んでいく。これじゃあまるで───────
「キス、してるみたい」
そう考えてしまったら最後、居ても立ってもいられなくなってしまって、その場を離れてはダッシュで部屋へと向かう。よく見えなかったけど、前へと屈んでいた。人気のない場所で、あの動作はもう、もう。
「キスしてるとしか、考えられない、じゃない……っ」
胸が押し潰されそうな気持ちに耐えられなくて、涙が勝手に浮かんでくる。何も考えられない。考えたくない。こんなに苦しいなら好きだなんて自覚しなければよかった。
────ドンッ
前を見ずに走っていたからか、誰かにぶつかってしまった。思わずハッとなり、その方へと向くと、見慣れた顔。
「名前ちゃん?そんな急いでどうし、」
吃驚したようにこちらを見ては、何も言わずにただ抱き寄せてくれた。