下品です。










机の上にパソコンが3台。

そのまわりに所狭しと本やファイルが散らばっている。
それぞれ3人の座っている周りにも紙やお菓子や飲み物の容器が埋め尽くすように落ちていてもはや足の踏み場もないとはこのことである。


あー、眠くて一歩たりとも動きたくない。というか、寝たい。寝かせて。



「太刀川、そこの辞書とって」

もう立ち上がる気力も、手を伸ばす気力すらない。
領域的に太刀川領土にある電子辞書を指して言う。

あれは多分私のだ。

「んー…、お前パンツ見えてんぞ。」


パソコンから顔を上げた太刀川は、
数時間前よりクマが濃くなっている。


「知ってる」

こっちはパンツどころじゃねーんだわ。
このレポートを明日の授業で提出しないと単位は泡と消えてしまうんだ。


「いや、もうちょっと右足ずらしてくれたら取るわ。」

「ここから先は有料です」

「一万円までなら出す」

「お断りします。
あと死ね。」

「金ならあんだよー!
単位売ってくれよー!!!!」

あんたは自業自得でしょっ!!!

ガタガタと机を揺らす太刀川に、蹴りをくわえながら自分で取った辞書で叩く。


「ふたりともうるさいぞ。」


『風間さんすみません』


風間さんに怒られて自分の領土に大人しく帰る。

「もおおお、太刀川のせいでレポート終わんないよー泣きたいよー」

「しょうがないだろ。
恨むなら、教授を恨むんだな。」

「なに偉そうにしてんのよー!!!
元はと言えば、あんたが教授の話忘れるからいけないんでしょーが!!」


「おい」


『はい、風間さんすいません』


「いや、これ終わったら飲みに行くぞ」


「ハレルヤー!!!」


万歳をして立ち上がる。

風間さんまじ天使。いや新時代の神。


「太刀川の金で」

「えっ、風間さんひどくないっすか」

「お前には言われたくない」

「そーだそーだ、太刀川のばーか。
私に単位寄こせついでにこの前の模擬戦のポイントも返せ」

「お前金ならあるんだろう」

「風間さんも稼いでるじゃないですかー」

「あと巫条」

「はいっ!
なんでしょう風間さん!」

「お前に黒い下着はまだ早い」


「風間さんッ!!!!」

しっかりして!!!!

目が渦巻いている風間さんを掴んで揺さぶる。

あれ?

風間さんの目って最初からぐるぐるしてるんだっけか…?


「しっかりしてくださいよ。
風間さん、相手は巫条ですよ?」


「まじで太刀川くたばれ!」




レポートが進まないまま
3人の2徹目の夜は更ける。