ギャクです。







はあ…
夕ご飯の係りになっちゃったけど、何作ったらいいんだろう。

たくさん食べれて、体にいいものがいいよね。

うーん、よし!決めた!
そうと決まれば、ブーディカさんに大きなお鍋を借りて来なくっちゃ。


大人数の食事を準備するのは、こんなに大変な事なのだなあと、煮え立つ鍋をかき混ぜながらいつもご飯を作ってくれるエミヤとキャットに心の中で感謝をする。
今度ふたりには何かお返しをしたいな。


「おい霧絵、なんか手伝う事あるか?」

「モードレッド!!
よかった、夕ご飯の準備ひとりじゃ終わらなくて…手伝ってくれる?」

ちょうど声を掛けてくれたのは、モードレッドだった。赤は料理を制す。これでもう完璧だ。

「はあ?おれが料理なんて…
お前これなに作ってんだ?」

「これ?
見ての通りみんな大好き栄養満点のじゃがいもだよ!」

じゃがいもの皮を剥くのは大変だったけど、ひとりでがんばってみんなの分を用意できた。
たくさんあるから、茹で上がったやつからモードレッドにテーブルに出して貰えるように頼む。

「おい…霧絵いいか?
料理っていうのはな 」

「マッシュですよ。レディ。」

「あ、ガヴェイン」

さらりと濃い青のマントを翻してガヴェインもキッチンに現れる。円卓のみんなは優しいなあ。

「ちっ、余計なのが来たが丁度いい。
お前あれやるぞ」

「モードレッド…いえ、だいたい状況はわかりました。
霧絵、料理とはひと工夫が大切なのですよ」

なるほど…。確かに私の作ったものは、じゃがいもの茹でたものだ。
これは料理じゃない。夕ご飯を任されたものとして恥ずかしい。

すっと、ふたりにキッチンのメインステージを譲る。鎧が反射して眩しい。

そこからのふたりの行動にまよいはなかった。

すごい、どんどんほくほくと火の通ったじゃがいもが潰れていく。普段から作っているのだろう、かなり手馴れている。

『マッシュマッシュマッシュ
何でも潰せば、食べられマッシュ〜♪』

「はいドーン!!」

モードレッドが出来上がったマッシュポテトを机に置く。

「すごいすごい!
あっとゆーまに出来ちゃった!!」

茹でたじゃがいもだったものが、お皿の上で潰されている。なんて食べやすそうなの、これが愛を込めた料理というものか…。


「霧絵もやってみろよ」

「う、うん。私にもできるかな?」

「おれの潰すやつかしてやるよ」

「モードレッドも、もうお兄ちゃんですね」

「な、全然うれしくねーよ!
お、おれは、父上を超えるだけだ」

「えへへ、私はうれしーな。
あ、あにうえー」照れ隠しになんちゃって、と言って笑う。

「ばっ
まあ、お前ならべつに…」

「じゃあ、ふたりのお兄ちゃん達もうちょっと手伝って貰おうかな」

3人でならんでおいもを潰す。

何でも潰せば食べられマッシュ〜♪




その夜ガヴェイン・モードレッド・霧絵はマッシュポテ党民としてブラックリスト入りを果たしたのだった。