交錯するカンケイ 2

side:優一郎





「……」

シノア達が帰った後も、俺は窓を見ていた。
どっかにシノンがいないか探す為に。

「…やっぱり、いねぇよな……」

どこを探してみても全くアイツの姿は見当たらない。
色々と聞きてぇ事があるんだけどな……。

「ん…?」

どこかから足音が聞こえた。
シノア達が戻って来たのか?
…いや、違う?

「……シノン?」

どんどんこっちに近付いてくる事が分かった俺はまだおぼつかない足取りで戸の前まで歩く。
同時に、俺の病室の前辺りでピタリと止んだ。
とりあえず開けて来るだろうと待っていたらまた足音が聞こえ始め、

「シノン……!」
「っ……!?」

やっぱり、足音の正体はシノンだった。

「って、おまえも大丈夫なのか……!?」
「ふぇっ、はぎゃっ……!?」

言いたい事が山程あるけど、その前にあの後大丈夫だったか確認する為に肩を掴むとシノンの口から不思議な声が出た。
意外とビビりな所があるんだな……。
って、思ってる場合じゃねえよ。

「すっすみません優様っ……!? 突然の事で、びっくりしてしまって……」
「え、あ……わっ悪りぃ! つい……」
「い、いえ……」
『……』

つい黙ってしまってるけど、いつあのことを聞けば良いんだ……。

「……えっと、とにかく…目が覚めて良かったです。優様……」
「えっ…あ、ああ。ありがとうシノン……」
『…………』

…だーっ!!!
全っ然本題に入れねぇ!?
けど、妙に言いづらいというか…。
シノンの顔を見ると何故かミカの顔が頭に浮かぶんだよな……。
そう思っていた時にシノンが帰りそうになり、すぐにシノンの細い手首を捕まえる。
また驚かせちまったけど、話すなら今しかねぇよな……。

「…話し、づらいんだよな。その……俺が、ミカと深く関係していたから……」
「……!? っっ…………」

シノンの表情から、それを気にしていたんだなってのが分かった。
俺も正直驚いた。
前にミカから初恋の女の子にまだ恋してるっつーのを聞いた事があったけど、まさかその相手がシノンだったなんてな。

「そうだよな、俺も…びっくりしたよ……」
「あの、優様っ…「シノン」
「…! は、いっ……」
「……分かってるよ、お前が何を言いたいのかくらい。だから……無理して、俺と話さなくて良いから」
「!? 違います…!? 違いっ、ます……」
「シノン……」

何で、そんな悲しそうな顔をするんだよ。
…いや、俺がこんな事を言ってしまったからだよな。

「……ごめん、ミカを…助けられなくて……」
「!! ……優様の、馬鹿っ…!」
「! シノン……!?」

突然抱き付いてきたシノンの顔をもう一度見たら、涙を目に溜めながら怒っているような表情を浮かべていた。

「優様はっ、何も悪くありません…!! 私だって、私だって……! ミカ様を助けられなかった!! 優様にとっても、"大切な人"なのにっ……!!!」
「……シノン、そこまで…………」
「私の方、こそっ…ごめんなさ、いっ……! ふぇ、う…うああぁぁあっ……!」

シノンの涙を見るのは、これで2回目だ。
いつもの笑顔を思い出そうとしても中々思い出せねぇ……。
やるせない思いが一気に込み上げ、力強くシノンを抱きしめる。

「…! 優、様っ……」
「シノン、絶対、絶対……ミカを救うから。俺にとってはアイツは"家族"で、お前にとっては"大切な人"だからな……」
「っ…はい。はいっ……! 私、もっ…一緒に、ミカ様を救いたいですっ……!」
「ああ。一緒に、ミカを吸血鬼共から救い出そう……」
「はいっ……」
「……!」

やっと見れたその笑顔に心臓が止まりそうになった。
…ミカ、ごめんな。
俺も、シノンを好きになったみたいだ……。

「っ……」
「! 優様っ…」
「いや、大丈夫……」

ちょっと目眩がしただけだから、っていう無理やりな理由も付け加えてみたら…急にベットの方に体を向けさせられた。

「なっ…!?」
「また目眩が起きる前に、早く横になってくださいっ!」
「別に大丈夫…「じゃ、ないですっ!」

そのままベットまで押し込まれた俺は仕方なく横になる。
何でそんなに慌てているのか不思議に思ったけど、それは今度聞くか……。

「まだ眠りから覚めたばかりだから、もう少し横になられてないと……」
「そう言ってもなぁ。全然眠くなんねぇよ……」
「…♪−♪♪♪−−……」
「? シノン…?」
「子守歌、です。幼い頃、眠れない時に"真昼姉様"がよく歌ってくださってました」
「へぇ……」

"真昼姉様"って、前にシノアが話してた姉ちゃんの事なんだろうか…って考えてく内に、段々と瞼が重くなってきた。
シノンの優しくて柔らかい声と歌が合ってんだな……。

「……おやすみなさい。優様…」

目が完全に閉じ切る寸前に、シノンの微笑んだ顔が見えた。
そんなシノンの表情に安心感を抱きながら、俺はまた眠りについた……。










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