3つの特殊ノウリョク 2






「では、始めちゃってください」

シノアの合図によって模擬戦が始まった。
シノン・優一郎組と真音・与一組がまだ困惑している中、最初に動いたのは……





「なぁ士方ー」
「何だ」
「もう、本気出しちまっていいか?」
「…なら、見せてみろよ」
「おう!」

「そうこなくっちゃな!」と張り切る知人はすぐに《閃珠丸》を構え、

「オレに憑依しろよ、《閃珠丸》」
「……!」

君月も《鬼籍王》を構え、この後来る攻撃に備える…が。

「……」
「………」
「…《閃珠丸》ーっ!!?」
「はぁ…?」

突然叫び出す知人に君月は段々と怪訝そうな表情になっていく。

「オイ、本気出しても良いかと言ったのはどこの誰なんだ?」
「ちょっ、タンマ! くっそこんな時に限って……」
「何がタンマだ、いい加減にしろよテメェ」
「ちゃんとしたワケがあっから!!」
「ワケだぁ…?」

うんうん! と頷いた後、一から説明する。
いざ憑依を実際にやろうとした所、精神の中にいる《閃珠丸》がそれを「嫌だ」と拒否し、発動することが出来なかったのだ。

「随分面倒くさい鬼と契約したな」
「まぁな〜。《閃珠丸》が女だからってのもあるけど、それ以前に何かこう引きこもりがちっつーか……」

君月は引きこもりがちな鬼も存在するのか…と真顔になる。

「つーことで、ちょっと会話してくっから待っててな!」
「それなら仕方ない、のか?」

色々とおかしな点があるなと思いつつ、とりあえず待つことにした。
すると、知人は鬼と話す為なのか徐々に目を閉じていく。

「君月、何があった?」
「知人が鬼と話し終えるまで待っているだけだ」
「そうなのか…?」

様子を見に来た三葉は知人の方を一瞥する。

「つか、アイツの《鬼呪装備》は何になるんだ?」
「…《閃珠丸》はお前達の持っている『黒鬼』と同等のランク、『菩薩』に当たる《鬼呪装備》になる」
「! 『黒鬼』と、同等……」

ふと、《鬼籍王》に目を向ける。

「お前や優のとは違う意味で厄介とは聞いてはいたけど……」

三葉の表情がどんどん曇ってゆく。
と、そんな時……

「…おし、待たせちまってごめんな!」
「知人…!」
「んおっ? 何で三葉までいんだ?」

やっと《閃珠丸》を説得できたらしく目を覚ました知人。
目を開けたときに三葉の姿があり、何でだ? と目を大きく開かせる。

「っ…さっさと始めろ馬鹿知人!!」
「オイオイ、何でお前が怒るんだよ〜?」
「ほっといて!!!」

怒りながら去って行く三葉に「何なんだ〜っ…?」と頭をかく。

「さぁな。それよりも、今度こそ大丈夫だろうな?」
「おう! ちぃっとばかし時間が掛かっちまったけど…。とりあえずやろうぜ!」
「またさっきと同じようなことが起きたらぶっ飛ばすからな」

やれやれ、と構え直す君月。そして……

「んじゃ、行くぜ! オレに憑依しろ! 《閃珠丸》!!!」

今度はちゃんと発動したのか、知人の周りを囲むように風が起こっている。

「(何だ? 全く変わらない気がするが…)っ……!?」

妙な違和感を感じていたその時、知人が勢いよく距離を詰め大太刀を振り上げてきた。
それに気付いた君月は下ろされるギリギリの所ですぐに受け止めたのだが……

「(ぐっ…!? 地面に、めり込まれているだとっ!?)」

「これが、本来の《鬼呪装備》の使い方なのか…!?」と身を以て痛感する。

「んまぁ、これが基本的な憑依タイプの力なんだけどさ」

ニカッと笑った知人は一度攻撃をやめ、

「憑依タイプにしては珍しい、オレの"もう一つの力"があんだよ」
「"もう一つの力"…?」
「おうっ! これがその力だぜ!! 全てを薙ぎ払えっ! "緋燕斬"!!!」
「!!?」

大太刀を一振りした瞬間、3つくらいに分散された剣撃が君月の頬をすり抜けた。

「(身動きが、取れなかった……)…くそっ!!!」

圧倒的なその力の差に君月は戦意を喪失し、膝をついてから拳を作り、それを地面に叩きつける。

「士方、大丈夫…「来るなっ!!」
「っ…!?」

知人に怒鳴った後、君月はハッと我に返る。

「…なぁ、知人」
「どうした?」
「俺も、お前みたいな力が手に入るのか?」
「え…? ん〜、士方次第なんじゃねえのかな?」
「そうか……」

《鬼籍王》を持ち直し、立ち上がる。

「次は絶対負かす」
「いつでも待ってるぜ!」

彼らの勝負がひと段落ついた時、真音と与一がようやく動き出した……。

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