計画のハジマリ 2






「!!! 敵か!!?」

一方、日が完全に西に傾こうとしている名古屋空港にいるシノア達。
その時、車のエンジン音が聞こえた全員は武器を構えるが……

「…やめろ!! 帝鬼軍の紋章だ!!」

深夜の呼びかけに気付き、構えるのをやめた。
深夜の様子から、恐らく増援が来たのだろう。
すると、三葉の姉である三宮 葵が車から降りた。

「…あれ、姉さん」

三葉は声をかけようとしたが、葵は少し顔を見た後すぐに逸らした。

「…あ」
「っ……」

知人は三葉の傍に寄り、別に視線を向けている葵を睨む。
そう、知人は数年前から三葉への態度が一変した葵を許せずにいる。

「やっぱり、かよ…!」

我慢がならないと怒りをぶつけようとするが、

「…! 三葉……」
「大丈夫、だからっ…」

しがみ付いたその腕を、強く抱きしめる。

「けどっ……」

その時、もう一人車から降り立った。
その人物は…日本帝鬼軍中将・柊 暮人だ。

「何で、柊 暮人様が……」

また嫌な予感が過った。
柊 暮人。
聖璃やグレン、深夜といった面々はあまり彼に良い感情を持っていない。
それどころか、実の妹であるシノンにさえ酷い仕打ちを何度もしてきたのだ。
そのシノンの従者である聖璃にとって、彼は天敵と言っても過言ではない。
その本人は何を考えているのか、スピーカーマイクを手に持ち……

「『諸君!! 私は柊 暮人中将−−−日本帝鬼軍を統べる柊家の者だ!!』」

暮人の言葉を聞いた月鬼ノ組の面々はザワつき始める。

「『そして、任務達成おめでとう!! 君たち月鬼ノ組の犠牲の上に我々、人間は今日!! 吸血鬼どもに完全勝利する!!』」

続けて武装を解除しても良いと告げるが、

「…知人、皆」
「おう、分かってるよ」
「武器を下ろさないでください」
「!」
「何か、まずいことが起きる予感がします」

清吾とシノアは何かを感じ取ったのか、皆本隊とシノア隊はそのまま武器を持つ事になった。
勿論、聖璃も……

「誰が、アンタの言葉なんかっ……!」

《大鎚地》をより強く握り締める。
その時、深夜が暮人に計画の事について問い詰めるのだが…言う言葉全てが、意味深長に聞こえる。
そして、まだ一つも答えを聞き出せてないのに何かの準備を始めようとした暮人を引き止めようとした時、《白虎丸》が一振りで弾かれてしまった。

「…まずい…。まずい…」

「くっ、深夜様……!」

シノアと聖璃は更に危機感を感じる。
と、今度は鳴海が暮人に問い詰め始めた。

「マコッ!!」

青ざめながら暮人に反抗的な態度を取る鳴海を止めようとした…その時!

「やめなさい、マコ…!? 何、あれ……!!?」

暮人の背後から無数の鎖が現れ…次々と、味方の体を貫いていく。

「きゃっ!?」
「鈴花!! このまま後ろに隠れてろ!! 綺里と愛紗もだ!!」

清吾は鈴花達を守りながら、《鎌鼬》で鎖を払い退ける。

「清吾!!」
「知人!! おまえはそのまま三宮特務少尉の傍を離れるな!!」
「…分かった!! 三葉、俺から離れんなよ!!」
「分かってる…!!」

知人と三葉も、連携を取りながら鎖を払う。

「な、んなの…よっ!!!」

考えるよりもやるしかないと、《大鎚地》を振り回し続けていた。しかし、

「!!?」

背後に回り込まれ、もうダメだと目を強く瞑った……。その瞬間、

「聖璃さんっ!!!」
「!! ……秀、作…?」

目を開けると、自分の代わりに鎖に体を貫かれた秀作の姿があった。

「あっ、あ…! 秀作!! 待ってなさい、今鎖を……!! 何、でっ………」

鎖に手をかけようとしたが、秀作の手が先に聖璃の手を覆った。

「……逃げて、ください。聖璃さん…」
「嫌よっ!! 嫌、絶対イヤッ…!! 秀作を置いてなんてっ……」
「…生きてください。お願い、しますっ……」
「!! 秀作っ……!?」

突き放されたと同時に、別の鎖が秀作の体を突き刺す。

「…………」
「っ…!!」

口の動きで何を言ったのか察した聖璃は、止めどなく涙が溢れ出す。
彼は、こう告げた。

『ずっと、愛しています。聖璃さん……』

「い、やっ…。秀作ううううううっ!!!」

彼女の叫びは虚しく、秀作はゆっくりと目を閉じた……。
その頃、激情した鳴海は暮人に攻撃しようと走り出すが、暮人の剣撃が鳴海の頭上に行き絶体絶命だと思われた…その時、

「馬鹿が!! あきらめんな!!!」
「っ…! オレ達も、援護する!!!」

君月・知人・三葉がそれを食い止め、与一も《月光韻》の弓攻撃を暮人に放つ。

「逃げるぞ!!」
「『鬼呪促進剤』を服用!! 撤退します!!」
「…抵抗するな、シノア。しなきゃおまえは生かしてやる。一応、柊家だからな」
「逃げますよ!!!」
「なら、死ね」

その瞬間、鎖がシノアにめがけて放たれた。が!

「はぁあああっ!!!」
「…!!」
「シノア!!!」
「シノアお姉ちゃんっ…!!!」
「ゆ、優さん!!? それに……シノン!!?」

優一郎とシノンが、鎖を全て弾いた。

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