epilogue

side:dream hero 5





あの出来事からあっという間に3ヶ月が過ぎ、オレたちは……。





「知人にーちゃ〜んっ!!」
「お? どーした、おまえら?」

ずっと行くあてもなく逃げ続けていたオレたちは、ある日この小さな漁村に辿り着き、とある条件を元にここに住まわしてもらう事になった。
最初はやった事のない畑作業に苦戦したけれど、今ではお手の物だと言えるようになった。
それに、ここの人たちともすっかり仲良くなったしな。

「うーうん! 呼んだだけ〜っ」
「何だと〜っ!」
「きゃーっ!」

よくオレに絡んでくるこの子供も、最初はよそ者なオレたちにすげぇ警戒してた。
いや、他の子供たちもそうだったけどな。
けど、ここで過ごしていく内に段々と打ち解けていって、今やこうやって遊んでやれるようになった。

「オイ知人、遊ぶなら仕事しろ」
「おうっ! もうちょい待っててくれねーか!コイツすっごく遊んで欲しそうにしてるから!!」
「おまえの"もうちょい"は信用ならないからさっさと戻れ」
「「えーっ、ケチー」」
「息合わせんな」

士方もオレと同じで畑作業に慣れてなかったけど、流石は器用人。
オレ以上に畑作業が様になってる気がする。

「いい加減にしねぇとおまえだけ晩飯抜きにするぞ」
「うぉっ…!?」

それはすっげぇ嫌だ! という事で、後で遊ぶ約束をした後すぐに作業に戻る。
因みに、今ここにいない鳴海兄ちゃんは食糧の調達に行っている。

「ふぃ〜っ、後もう少しだ……!」

さて、次は何の野菜を育てるかな〜。

「…知人」
「んお? お、三葉!」
「はい、これ……」
「おぉっ、水だー! サンキューな!」
「オイ!! まだ休憩じゃねえぞ!!」
「じゃあ、今から休憩っつー事で!」

士方の言葉を無視したオレは一目散に三葉の元に行き、差し出された水筒を貰う。

「くぁーっ! 生き返る〜!」
「全く、大袈裟だなおまえは」
「いやいや、士方の奴がやたらと人使い荒いんだよ」
「ワザと言ってんのかおまえ?」
「あ、聞こえてたか」
「そこに直れ、今すぐ斬り捨てるぞ」
「うおぉっ!? わっ、悪かったって!?」

士方、ここに来てから尚更気が立ちやすくなったのか?

「君月、コイツは一生治らないアホの病に罹っているから怒っても無駄だぞ?」
「アホじゃねーよっ!?」
「「十分アホだ!!」」
「何ーっ!?」

とりあえず、一旦休憩を取る事にした。

「三葉」
「何だ?」
「…いんや、何でもない」
「はぁ……?」

うん、良かった。
ここに来てすぐの三葉、ずっと落ち込んでたからな。
そうだよな、葵姉ちゃんがあんな恐ろしい実験に肩入れしてたなんて…。
もし典人兄ちゃんがその立場だったら、オレもきっと同じように落ち込んでた。
だから、これからは……

「オレが、いっぱい三葉を支えてやんねぇとな」
「!? い、今…」
「ん? どーした?」
「……な、何でもないわっ!!」
「ぶふっ!?」

何で平手打ちされなきゃなんねーんだ!?

「イテテッ…。何だよ三葉ー?」
「その無意識に言葉を発する癖を何とかしろ!! へ、変に誤解してしまうというかごにょごにょ……」
「んんん〜っ…?」

変に誤解って、一体何の事だぁ……?

「三葉、また数の子が変な事したの?」
「何でそーなるんだよ真音!?」
「ま、まぁまぁ知人くん…」

そういや、真音もここに来てからしばらくは泣いてたし…何故か、何気に与一を避けてたような気がしたな。
けど、いつの間にか元に戻ってたけどな。

「数の子、三葉に何かしたらタダじゃ置かないから」
「真音ちゃん……」
「何でだよーっ!?」

何か、最近三葉と一緒にいる度に真音が来てるよなぁ…?
オレ、何かしたのか?

「あらあら、ダメですよまっちゃん。知君とみっちゃんは今アツーい愛のランデヴーを「違うからっ!!」
「おや、そうなのですか?」
「シノアーッ!!」
「あっはは〜♪」
「行っちゃった」
「だね……」

久々だなー、あんな風に追いかけっこやってる2人を見るの。
シノアもシノアで、ずっと悩んでたみたいだからな……。

「ん? お、アレは…。シノン! ミカー!」
「あっ。ミカ君、知人君が呼んでるみたいだよ?」
「…行くの?」
「一緒に行こ?」
「……はぁ、シノンちゃんがそう言うなら」

たまたま一緒にいたシノンとミカを見かけ、声をかけてみた。
すると、シノンがミカの手を引く形で来てくれた。

「おまえらどこに行ってたんだよー?」
「何で君に言う必要があるの?」
「家族だから!」
「…家族以前に、君はもう少し空気を読むというのを学んだ方が良いと思う」
「空気を読む……?」

本当、ミカは難しい事ばかり言うよなー。
今こうやって話せるようになったけど、ここまで来るのに大分時間がかかったな。
中々打ち解けてくれねぇミカに、シノンが必死に間に入って取り持ち続けてくれたおかげで、まだ少しだけなのかもしれねぇけど仲良くなる事が出来た。それに……

「えっと…。うーん、何て説明すれば……」
「説明しなくても良いよシノンちゃん。多分彼には理解するという脳が存在しないから」
「そんな事ねーよっ!?」
「あははは…」

何よりも、シノンが自然体でいられるようになって本当に良かったと思う。
口調とかだけでなく、色々な変化があった事には正直凄く驚いたけど、オレだけでなく三葉や真音、シノアも皆思ってんだろうな。
やっと、本当のシノンに会えたって。
ミカといる時が1番多いみたいだけど、その分笑顔も沢山増えた。
……けど、

「…行ってくる」
「! ミカ君、私も行くよ……」
「シノンちゃんはここで待ってて。大丈夫、すぐに終わるから」
「…。うん……」
「……」

そんなに、良い事ばかりじゃない。
何せ、優は−−−……。





オレたちはまだ、何も知らなかった。
今この時が、更に長い長い物語の序章になるなんて……。








【第1部】 fin…
The next to 【第2部】…

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