無色
目を覚ませば目の前は真っ暗。
まだ夜中なのかと思って寝返りを打とうとしたらなんか壁みたいなのにおでこをぶつけて地味にイテェ。
そこで俺はようやく自分がどこか狭いところに閉じ込められてるのだと知った。
………いやいやいや!!!なんで俺閉じ込められてんの!?
手を前に伸ばしてペタペタと壁に触れてみると結構ザラザラしてるけどなんか薄いような、そうでもないような……?それになんかどっかで触ったことがあるような、無いような……?
今度はぶつけないようにそっと壁に耳を当てて外の様子を聞いてみると鳥の鳴き声や波の音?が聞こえてきた。人の声が聞こえないところを考えると周りには見張りとかいない感じか?これ。
えぇ???
人のこと拉致っといて放置?
とりあえず周りに人がいないなら好都合じゃ!
俺を!!ここから!!出せぇぇぇえええ!!!!
俺は太鼓を叩くような感じで目の前の壁を思いっきり叩きまくった。するとビシッと音を立てて壁にヒビが入ったらしく光が入ってくる。
眩しいが俺は壁を力いっぱい押してみた。
ミシミシと音を立てて裂けていく壁。
わけわかんない状況だけど、このまま大人しくするのは駄目な気がする。
それに俺はパルデア地方の冒険がしたいんだよ!!まだソフト買っただけでプレイ出来てねぇんだぞ!!!
すんっと鼻に緑の匂いが、視界には周りを囲うようにそびえ立つほど多くの木々と遠くに見える海が広がった。
支えを失った壁はそのまま崩れ、俺も目の前の地面にズシャアと顔面からダイブしてしまった。イッテェ…。
擦りむいた鼻を抑えようと手を上げて、俺は自分の目を疑った。
え?俺の手、こんな白くねぇし?そもそも指、無くね?それになんか、視界が低いよう…な……???
頭の上に大量の?を浮かべながら俺は中々前に進んでかない足を必死に動かして自分の姿を確認できるものを探す。
なんで自分の体がこんな変なことになってるのかさっぱりわからないまま長い時間を彷徨えば池のような湖のような場所を見つけた。
俺はそこに向かって転びながら近寄って水面を覗き込んで、俺は夢でも見ているのかと自分の目を疑った。
水面に映っているのは緑のおかっぱ頭に赤い角。
全身真っ白の姿をしたそいつを俺は知ってる。
ペタペタと水面に映るそれと俺が同じ動きをしている時点でこれが俺なんだと分かる。分かるけど……!!
「……ッ!?!?!?(なんでラルトスになっとんじゃぁぁあああ!?)」
あ、しかも声出ないんだけど!!
こーゆーの俺知ってる!
二次創作でよくある転生成り代わりってやつだよな!?え?俺、どっかのトレーナーにゲットされてバトルすんの?むしろ俺がそっちやりたいぃぃいい!!!
頭を抱えながら出ない声で絶叫していれば、いきなりゾゾゾッ!!!と背筋を走る悪寒に襲われて、咄嗟に振り返ってしまった。
「………(ワ、ワーゲームデハミタコトナイケドミオボエノアルドーブツガイルナー汗)」
そこにいたのはいかにも腹減らしてますって感じにヨダレ垂らした大きな虎がいた。ギラギラと血走った目に鋭い牙が並んでいる。目線をすこぉし動かせばこれまた鋭い爪が地面を掻いてる。
こんなヤツ、ポケモンで見たことない。あるとすればドラゴンなクエストの方だなぁ〜と現実逃避してみたが目の前の虎もどきは知ったこっちゃねぇとばかりに俺に飛びかかってきやがった。
「」