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2022/05/08(Sun)
無題
GW中に3000字くらい書けたらいいなと思ってたんですがそれは無理そうなので、とりあえずこんなん書きたいな〜〜というメモみたいなガウェベディ冒頭1000字程度を置いておきます。とはいえベディさんはまだ影も形もないです。
ロングホープ・フィリア
城の大広間に据えられた玉座には一応父が座っていたが、この国の真の主は魔女である母なのだと、ガウェインに限らず城の中の誰もが理解していた。
母・モルガンとは必要最低限の会話しか交わしたことがなかったが、これもまたガウェインに限ったことではなく、兄弟たちは皆等しくそうだった。
自分たちは両親の愛・あるいは情欲といったものから産まれ落ちたわけでは無い。母が持つ何らかの目的の為に機械的にこの世に産み落とされたのだと、兄弟たちは嫌でも理解していくことになる。
すぐ下の弟であるアグラヴェインはそんな母をひどく嫌っているようだった。まだ幼いガレスはただ困惑しているようだった。ガウェインはといえば――自分でも、何だかよく分からなかった。ただ、好きや嫌いといった感情とは別の部分で、冷たく、可哀想な人だと感じてはいた。
十歳になるかならない頃に、ガウェインは騎士としての振る舞いを学ぶ為に大陸のローマへと渡った。渡航の命令は父の口から出されたが帰国の命令は母の名で届いたのと同様に、帰国した嫡子の無事や成長を喜ぶ言葉が父の口から出された後で、母の口からとある命令が発された。
「――ガウェイン。貴方はこれよりウェールズのアーサー王の傘下に入りなさい」
母はいつも父の後に喋るが、内容は父の言葉よりもずっと重大なのだ。
ガウェインが言われたことの意味を考えている間に、傍に控えていたガレスが口を開いた。
「母上、アーサー王とはどなたでしょうか? ガレスは聞いたことが無い名です」
「アーサーは、私の弟です」
ガウェインは思わず目を見開いた。弟がいるなんて初めて聞いた。
「ええええっ!? 母上には弟君がいらっしゃったのですか!?」
ガレスも同じだったようで驚きの声をあげたが、返答の必要を感じなかったのか母は沈黙を貫いた。視界の隅でガレスがしょんぼりと肩を落とすのが見える。
「……母上。弟君であるアーサー王の手伝いをせよ、と私に命じられたのでしょうか?」
「そうだ。お前はアーサーの騎士となれ。ここにはもう帰って来なくていい」
小石でも投げるようにぞんざいに母は言ったが、ガウェインの方は頭を殴られたような衝撃を受けた。
「――私は、いずれは父上の後を継いでオークニーを治めるものと考えておりましたが……」
「行けば分かることだ。明日にでも発て。その後は全てお前の思うままに行動せよ」
温度を感じさせない声で告げると、母はすっと席を立ってしまった。
理由は分からないが、自分は母から見放されたのだ。
この時はそうとしか思えなかった。だが――見放されただけの方が、まだ良かった。
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