今日から2日間、中間テストがある。今学校へ向かっているが、この上なく面倒臭い。が、午前にテストを終えたら、家に帰って腹いっぱいメシが食えるからもうそれでいい。そういえば昨日はなまえは勉強会をしたと言っていた気がする。赤い丸と赤いバツが半々くらいのノートの写真が付いている、「見て!いっぱい当たった!」というメールが届いていた(今朝起きてから気が付いた)。
「なまえはちゃんとベンキョーしたんだなー。意外」
「あんたはどうなのよ」
「お、ナミ。ウチはまあ、それなり」
「嘘おっしゃい」
「でもなまえが勉強会とか想像できねー。ケッサク!」
「笑い事じゃないわよ。ボニー」
ナミからのデコピン攻撃を受けて額をさすりながら少し歩いた所で、いつもの店が見えてきた。早朝から開いているおにぎり専門店だ。
「っしゃ!」
「ちょっとボニー!どこ行くのよ、学校こっち!」
「寄り道!朝飯だ朝飯ィ!」
店の前まで全力でダッシュすると、いつもの店主が出て来て笑った。
「ボニー。今日も来たのかい?」
「毎朝来るぜ!今日なんだ?」
「今日は昆布だよ。試食の漬け物あるけど食うかい?」
「全部くれ!何でも食う!」
「はは、ボニーに全部やったらウチが潰れちまうだろ。このタダ食い娘!」
そう言いながら出してくれたおにぎりと、試食の漬け物。ちなみに昨日は漬け物じゃなくて、店主の朝飯の残りの味噌汁をくれた。いつもは2つのおにぎりが今日は3つ。サービスか?と聞くと、「あそこで待ってる女の子にだよ、友達だろ?」と呆れられた。なるほど、これはナミの分だったのか。試食としては大サービスの量の漬け物を手に、再び学校への道に戻った。
試食品を食うだけ食ってグッドバイ
「ボニー…毎朝こうして朝食とってるの?」
「おう。これナミの分だって」
「え、ちょっとお礼も何も言ってないじゃない!」
「ウチが言ったぞ」
「まったく……まあもらっておくわ、ありがと」
おにぎりと漬け物を食べながら歩いて学校へ着くと、校門の生徒指導のクザンに捕まった。どうやらテスト期間でいつもより早めに出勤したらしく、メシを食い損ねたから漬け物を分けてくれと言ってきた。嫌なこった!と断ってクザンをスルーし、教室へ向かう。すると信じがたい光景が広がっていた。
「…………」
「…………」
「おはようナミ、ボニー。いい朝だね」
「おう、なんだお前ら今来たのか?遅ェぞ!」
「ナミ、ウチのほっぺつねってくれ」
「私のもお願い。ボニー」
ナミとお互いにほっぺをつねり合うが、お互いほっぺは痛くなった。つまり夢じゃない。なまえとルフィがすでに席についてテストのための勉強をしている。周りの奴らも驚いた顔でなまえ達を見ている。たった今ウチらの後に続いて教室に入ってきたロー達も目を見開いた。
「おい、昨日コイツが数学に出た時点でおかしいと思ってたが…今日は豪雨だ。お前ら傘は持って来たか」
「折りたたみなら持ってますキャプテン」
「あ、ウチも傘持ってきた。折りたたみ」
「私も。何か怖いから」
「きみ達は本当に失礼だな」
「そうだぞ。おれもなまえも真面目に勉強してるだけなのに」
なまえ達は全く同じ表情で怒っている。ここで担任のスモーカーがSHRのために教室へ入って来たが、なまえ達を見て目を見開くと、一度教室から出て戸を閉めた。そしてクラスを確認し、もう一度教室へ入る。
「おれは夢を見ているのか」
「夢じゃねェぞ。なまえちゃんもルフィも学校来てからずっと勉強してる」
「…サンジ。あいつら頭でも打ったのか」
「いや、おれも信じられねェが…おれが来た時にはもう勉強してた」
「………」
スモーカーは咳払いをしてSHRを始めた。その間もなまえ達はずっと机に向かっている。どうやら2人とも、今日のテストで最もマズい数学に全集中力を使うつもりらしい。何問か解いては隣の席のローにノートを預けて採点してもらっている。
「…………合ってる」
「もう今日誰にも数学負ける気がしない」
「何言ってる。基礎問題しか解けねェくせに」
「トラ男!おれのも見てくれ!」
「3問ハズレ」
「くそー!なまえに負けた!」
「ルフィ、私に点数負けたら約束守ってね」
「わ、分かってる!お前こそおれに負けたら守れよ!」
「…おい、約束って何だ」
「負けたほうまたは赤点取ったほうが1日分のご飯奢るの」
「随分不利な賭けだな。負けたら破産するぞ」
「うん間違いなく破産する。だから負けるわけにはいかないの」
なるほど、なまえ達はそんな楽しそうな賭けをしていたのか。1日分のメシを奢ってもらえるならウチも賭けに参加してみればよかった…と少し後悔する。最初の1時間が自習で2〜4時間目がテストだ、と簡単に説明をしたスモーカーは、最後にもう一度宇宙人でも見るような目でなまえ達を見て、教室から出て行った。
「テスト開始まであと1時間、か」
[ back ]