夜。明日は朝早くから仕事があるため少し早めに布団に入ったのだが、ようやく睡魔がやってきた時には、すでに普段寝ているくらいの時間になってしまっていた。やっと眠れそうだと寝返りを打つと微かな物音が聞こえて、そちらへ意識を向ける。
「……誰?」
目を擦りながら障子越しに見えた人影へと問いかけると、聞き慣れた声が返ってきた。
「俺でさァ。起きてやすかィ?」
「ん……どうぞ」
体を起こすと、そこには見慣れた隊服姿ではなく、枕を抱えた着物姿の総悟が居た。彼が昼間に仕事を邪魔しに来たりサボりに来るのはしょっちゅうだが、こんな時間に部屋まで来るのは珍しい。
「ちょっといいですかィ?」
「うん。どうかした?」
「……時間が早すぎて眠れなくて」
「ふーん…」
「……ちょっと隣、貸してくれやせん?」
そう言うなり布団の中へ入ってきて、もぞもぞと抱きついてくる。調子に乗るな、の意味を込めて手の甲を抓ってみても、腕の力が緩む事はなかった。
「総悟、暑い」
「………眠くなるまででいいんで、もう少し…このままで居させてくれやせんかィ」
アンタが居ねェと眠れねェなんて
情けなくて言えねェや
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