……やっと見つけた。まったく、どこへ消えたのかと思えば木の上で優雅に昼寝とは。休憩として与えられた時間は、とっくに過ぎているというのに。

「なまえ、いつまで寝てるんだ?」
「……んん…カカシ?」
「生徒たちが探してますよ、なまえ先生?」
「もー…やめてよ先生なんて……」

 いまだに人に教える立場だなんて実感ないんだから、と笑って木から降りるなまえに、怒る気も失せてしまう。見ているこっちもつい笑顔になってしまうのは、彼女が持つ力だろうか。彼女を連れ戻すという本来の目的もどうでもよくなり、隣に腰を下ろした。

「なまえのところの生徒だが、吸収も早くて羨ましいよ。ウチのは……なぁ」
「ああ、ナルトくん? サクラちゃんも可愛いし、いいじゃない。それに私、サスケくんは結構好みよ」
「な、なまえ…サスケって……」
「カカシったら本気にしてー! サスケくんは生徒でしょ。しかも子ども。まったく騙されやすいんだから!」

 またコイツは……騙されてやっている、の方が正しいと言いたいところだけど。悔しいがなまえには普通に騙されてしまっている。惚れた弱みとでも言うのか。
 強い風が吹き、なまえの長めの髪が靡く。それを片手で掻き上げる仕種に、心臓が跳ねた。ずいぶん付き合いは長いつもりだが、こういう女らしさを感じる一面を垣間見たのは久々かもしれない。

「カカシ」
「……んー?」

 イチャパラを読むふりをしながら、返事をする。

「私、カカシのこと好きよ?」
「……は?」

 思わず目を見開く。まさか惚れた相手から告白されることになろうとは。予想外のことに反応しきれずにいると、

「って言ったらどうする? ふふっ」
「………ホントしょうがないやつだな、なまえは」
「む…どういう意味ー?」
「別に意味はないよ」


 それでも結局好きなんだけど


「カカシの馬鹿」
「え? 何かしたっけかな」
「……私の告白シカトした」
「えっ………あれ告白なの?」
「当たり前でしょ! 好きだって言ったわ」
「……返事聞く?」
「いい! いらない!」
「OKなのに?」
「!」


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