臨也は一体何をしているんだろう。自分から家に呼んでおいて、私をソファで待たせたまま一向に自室から出てこない。彼女が家に来ているっていうのに顔も出さないって、どういうことなの?
「帰ろっかな」
「それは困るなぁ」
突然真後ろから聞こえた声に驚いてそろりと振り向くと、にっこり笑った臨也が立っていた。……いつの間にそこに。
「……恋人待たせて何してたわけ」
「そわそわしてるなまえを見たくてさ」
「悪趣味」
「仕方ないよ、見たかったんだから」
どこまで自分の考えに忠実に動いたら、こんな人間ができるんだろうか。
「ほら、行くよ」
「え? どこに」
「どこって……ご飯食べに」
臨也が作ってくれるのかとばかり思っていたのに。……まあ、作ってくれるとしてもどうせ鍋か何かだろうけど。
「今…俺に対して何か失礼なこと思わなかった?」
「別に? イタリアンしか食べないわよ」
「なんでも好きなもの食べなよ」
「フレンチも食べるわよ!」
「何店でも連れてってやるから、好きなだけ食べなよ」
にやにやと笑う臨也に腕を引かれて、少し高めのお店に連れていってもらう。悪趣味に付き合わされた分、宣言通りがっつり食べてやるんだから。
「……本当にフルコース2種類も…よく食うな」
「意外と食べられちゃった」
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