あれ? いつもの帰り道なのに何かが違う……ああ、そうか。今日は一緒に帰っている相手が一護じゃなく――。

「いやー、なまえちゃんと帰れるなんて! 放課後の委員会も捨てたモンじゃねーな!」

 浅野くんだからか…!

「じゃあ浅野くん、私こっちだから」
「えっ…あ……なまえちゃーん!」

 鼻水まで垂らして別れを惜しんでくれる気持ちは嬉しいんだけれど、私は一護にしか興味がない。実を言えば自宅への曲がり角は、3つ先の角だ。ちなみに勢いで曲がってしまったが、いつも決まった道しか通らない私が先程の角を曲がったのは人生初。つまり、全く知らない道。

「あれっ……」

 軽く迷子になった?

「とうとう自分の家分かんなくなったか? なまえ」

 溜息を吐きながら私の腕を引っ張ったのは、一護だった。

「一護」
「お前ん家は俺ん家の真正面だろ? ほら、置いてくぞ」

 手を差し出されて、自分の手を重ねる。大きくて少しだけ冷えた手の平に包まれて、不安を感じ始めていた心が安心感で満たされた。

「ありがとう、一護」
「ああ……っつか、俺の委員会終わるまで待ってりゃいいのによ」
「なっ…そんな、彼女ってわけでもないのにっ…!」

 それに、一護にはルキアちゃんが…!

「は? 俺はもう彼女みてぇなモンだと思ってたけど、なまえのこと」
「……えっ」
「言った気になってたぜ、好きだって」

 一護の性格と顔の赤さから、冗談なんかじゃなく本気なんだって伝わってきた。彼からうつったみたいに私の顔が真っ赤になるまで、あと3秒。


 思いがけない告白


「い……一護…」
「ん?」
「私も、一護が好き」
「……知ってる」
「格好つけたでしょ、今」
「っうるせー!」


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