俺が仮眠から覚めると、隣には雑務を任せたはずのなまえが横になっていた。松本も松本で、いなくなっている。何故俺の部下は揃いも揃ってこうなのか。

「なまえ。起きろ」
「もう斬れません更木隊長…」
「どんな夢だソレは」

 なんとか揺り起こして、何の夢を見ていたのかと少し聞いてみる。

「更木隊長の特訓を受けていて、大虚をあと156万回斬ったら総隊長より強くなれると…」
「そんな特訓あるわけないだろうが」

 なまえに任せていた資料の束で、頭を軽く小突いてやる。そのときにやっと気付いたが、手にした資料は全てしっかりと纏められていた。……ちゃんと仕事が終わってから寝ていたのか。

「……まだ寝ててもいいぜ、なまえ」
「1回起きたら寝付けませんよ。隊長」
「そうか…悪い。じゃあついてきてくれるか」
「はい?」
「松本を探しに行く」

 俺の苛立ちを察したらしいなまえは、行きます行かせてください! と挙手して立ち上がった。松本にも、これくらいの素直さが欲しいもんだな。

「見つけたら確実に捕獲しろ」
「は……はい、隊長!」

 そう意気込んで扉を開けたら――、

「あら、隊長となまえ。起きてたのね。なになに、2人で散歩? それともデートぉ?」

 松本がいた。
 ……俺が松本に鉄拳を食らわしたのは、言うまでもない。


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