「星、どうしたの」
「おお。なまえか」
「元気ないね」

 今俺の隣に座った、このニノの次に可愛すぎる黒髪サラサラロングストレートの女の子は、なまえ。俺をよく応援してくれている、心優しい子だ。

「ニノはリクと散歩らしい」
「……またデートに誘ったんだ」

 体育座りをしてなまえに話すと、元気出してと言いながら背中を擦ってくれる。コイツはこういうところが可愛いと思う。

「星」
「ん?」
「デートしよっか」
「え?」
「今日だけ、星の傷心デート」

 河川敷歩こうよ、と立ち上がって手を差し出してくるなまえ。気分転換にいいかもな。

「…サンキュ」

 手を取って立ち上がり、なまえに手を引かれるままに歩き回る。色々な話題を振ってくれたり、途中拾った綺麗なガラス片を陽に透かして見せてくれたり、一生懸命に俺を元気づけてくれた。

「なまえ」
「なーに」
「ニノがいなかったら俺は、お前を好きになってたのかもな」

 なーんてな! と笑えば、こっちを振り向かないまま数歩先を歩くなまえから「そう、だね」少し遅れて掠れた声が返った。


(そんなふうに言われたら、星が好き、なんて言えないじゃない)


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