※三つ子設定


「ん、光…携帯鳴ってる」
「えー、なまえのじゃないの?」
「嘘だ…私のは環先輩の着信音こんなんじゃないもん……ちなみに鏡夜先輩のはダースベイダー…」

 とある日曜日の朝、もぞもぞとベッドの中で動く3人がいた。2人は男の子――常陸院光・馨、もう1人は女の子――なまえだ。
 三つ子である彼らは、光の携帯に入った部活の先輩からの連絡で目を覚ました。光は目を擦りながら携帯を手に取り、その腰にはなまえが抱きつき、さらに肩には馨が手をかける。なまえの頭をおもむろに撫でながら、光が眠そうに通話ボタンを押した。

「はーい、もしも…」
『きききき聞いてくれ光! 明日はハルヒが以前言っていた、町内会の祭とやらがあるらしい! よって我がホスト部も参加してみることにした! いいか、お前ら三つ子も強制参加だからな! ……あ。なまえには可愛い浴衣を着せること! ハルヒとなまえが浴衣で並べば、それはもう絶対100%可愛――』
「………」

 終話ボタンを押すと、興奮して話し続けていた声がブチッと音を立てて途切れる。きっと電話の向こう側では、環が泣き崩れていることだろう。

「聞こえた? なまえ、馨」
「もちろん。僕ら強制参加かぁ…」
「浴衣…ハルちゃんも浴衣?」
「みたいだけど。なまえも浴衣着る?」
「うん!」

 笑顔で頷くなまえを、ニヤリと笑った光と馨が抱きしめて、ベッドへ再度ダイブする。ベッドはギシッと音を立て、なまえは「ぎゃっ」と色気のない声を上げて柔らかな枕の上で頭をバウンドさせた。

「ちょっ、頭ぐらぐらするっ…」
「もうちょっと寝よーよ」
「殿のせいで寝足りないしさー」
「……うわ! よく考えたら裸で抱きつかないでよ! 兄妹とはいえ問題が」
「「問題なんかないなーい!」」
「私もう起きたいよー!」
「「ダーメ」」

 無理矢理2人の兄の腕に収められて身動きが取れなくなったなまえは、諦めて2度目の眠りに就くのだが……数分後にはホスト部全員が遊びに誘いに来たため、結局起こされるのであった。


 兄妹とはいえ


「ほんとに仲が良いんだね、この三つ子」
「おおおお父さんは許しませんん! 兄妹とはいえ女の子が野獣に挟まれて眠るだなんて! おかーさん! このままじゃ2匹の野獣になまえが食べられちゃうよ!」
「……さすがに妹に手は出さんだろう」
「「ちょっと殿! 野獣って、まさか僕ら?」」
「光、馨。離して…苦しい」
「なまえちゃんは可愛いねえ、崇!」
「…ああ」


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