「殿、とーの! 数学教えて!」
「殿じゃないもん……キングだもん…」

 あれ、殿が落ち込んでしまった。光と馨が、環先輩は「殿」って呼んであげると喜ぶって言ってたんだけどなあ。

「まったく…そんなしょうもない呼び方をなまえにまで教えたのは、あの双子だろう」

 ぽんぽんと頭を撫でられて、気分はまるでお姫様になったようだ。こうして見ると、環先輩は本当に王子様みたいに思えてくる。

「環先輩」
「んー? 何かにゃー?」
「宿題、教えてください」
「よーしよし、任せなさい」

 キラキラと照明の光が透ける金髪を揺らし、先輩はふわりと笑った。……向こうの方で鏡夜先輩の眼鏡も光った気がしたけれど、気のせい…だよね?



「環となまえの勉強風景……これも次の写真集に盛り込もう」
「ホスト部の写真集に女子を入れていいんですか? 鏡夜先輩」
「なまえは女友達も多いが、男子生徒からも人気がある。彼女の写真が入るとなれば、男子生徒にも写真集が売れるぞ」
「………」


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