「あれ、なまえじゃん」
「シュージン」
「あ き と」
「いいじゃん、良いあだ名だよ」
「幼馴染みなんだから名前で呼べって」

 頭を軽く叩かれる。これは私の幼馴染みで、高木秋人。そこそこ格好良い…と思う。ちなみにこいつの彼女は、私の大好きな香耶。きっと秋人より私の方が香耶を好きだろう。

「今日は香耶は?」
「作業場にいる」
「なら行く!」
「ならって何だよ」
「香耶がいるなら行く!」
「……あっそ」

 先を歩き始めた秋人の後ろを、小走りでついていく。きっと美保は来てないな、レッスンの日だし。……レッスンなくても美保は来ないか。そう考えているうちに、作業場に到着。

「シュージン、ジャンプ売ってた? ……って、あれ? またついて来たのかよ」
「香耶に会いにね」
「……ああ、そう」
「なまえー! そんなに私に会いたかったの?」

 にこにこしてくれる香耶は優しくて可愛いなあ、いきなり頭叩いてきたどっかの幼馴染みとは大違いだ。ヤツの彼女にはもったいない。

「……お前今、俺に対して敵意持ったろ」
「別に何も思ってないけど」
「嘘だ、俺を見る目が酷かった」
「そこの幼馴染み、喧嘩は外でやれ」

 香耶を不幸にしたら、秋人ぶっ飛ばそう。


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