「あれ。何でィ、夜中に」
「……ごめん。眠れなくて」

 なかなか寝付けず暇潰しに屯所内を歩いていると、総悟の部屋から明かりが漏れていることに気付き、入ってみた。彼はちょうど寝るところだったらしく、寝間着に着替えて眠そうな顔をしていた。

「……最近、寝付きが悪くありやせん?」
「え」
「俺が厠に起きたときも、最近よくなまえの部屋に明かりがついてまさァ」
「私の部屋、厠とは逆方向だけど?」
「……心配だったんでさァ、毎朝目の下にクマ作ってるし…」
「いつも様子見に来てくれてたの?」
「…悪ィかよ」

 総悟は機嫌を損ねたのか、そっぽを向いてしまった。けれど、その横顔は耳まで赤く染まっていて。

「ありがとう、総悟」
「……別に」
「今日はここで寝てもいい?」
「………は?」
「総悟の隣なら、眠れそうだから」
「……好きにしろィ」

 と言いつつ布団を持ち上げて隣に入れてくれるから、総悟は本当は優しいんだ。


 あなたの隣なら


「総悟、何もしなかったね」
「俺はどっかの誰かと違って、そんなケダモノじゃありやせん」
「どっかの誰かって誰だコラァア! 俺じゃねェだろうな!」
「ほーら、なまえ。ケダモノでさァ。土方さん、盗み聞きなんてタチが悪ィや」
「………(しまった、つい反射で出て来ちまった)」


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