ここはテニス部の部室。今日は珍しく私たち2人が一番乗りで、一緒にいる彼は「皆が来るまで仮眠を取る!」と早々にソファで横になった。
そして今、私は気になって仕方がない。目の前にある、ふさふさしたものが。
「ふわふわ……さらさら……」
触れるとまるで空気を含んでいるかのような、ふわふわ感。……これが本当に男の子の髪なのだろうか。
「……ん」
寝返りを打った彼は、部室のソファから転がり落ちそうになりながら、うーん…と寝言で唸っている。まだ目を覚ましてはいない事を確認して、再び手を伸ばす。ぽふぽふ撫でていると、ぱしっと手首を掴まれた。
触れた、赤
「何してんだよぃ、さっきから」
「……あれ、起きてたの?」
「最初から寝てない」
「…何それずるい」
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