さっきから私の膝に頭を乗せて眠っているのは、恋人の銀ちゃん。ちょっと寝させてくれ、なんて……かれこれ3時間経つ。さすがに膝に限界がきて、痺れてきた。

「銀ちゃん、1回起きない?」
「………ん……んぁ?」
「足、痺れちゃった」
「疲れたか?」
「少し」
「そっか」

 軽い返事をして銀ちゃんが起き上がると、今度は私の視界に天井が映る。そして横からすぐに、銀ちゃんの顔も視界に入ってきた。

「銀ちゃん?」
「疲れてんだろ? 次はなまえの番な。ほら、足伸ばしてゆっくり寝ろって」
「……ん。ありがとう」

 銀ちゃんの着物に顔を埋めて、抱きつくように擦り寄る。鼻孔をくすぐる銀ちゃんの甘い香りが、眠気を誘った。

「銀、ちゃ……」
「俺はどこへも行かねェよ。いいから休んでろ、なまえ」
「……うん」

 そのまま銀ちゃんの膝の上で、ゆっくり、ゆっくり目を閉じる。
 大きな温かい手が、優しく髪を撫でるのを感じながら。



「膝枕って結構、疲れんだなァ」
「でしょ。銀ちゃん重かったんだから」
「……ごめんなさい」


[ back ]