俺の彼女、なまえ。告白は俺から。背丈は並より低い? まあ、並くらいか。柔らかい笑顔に、少しだけはねる癖のついた髪。俺と一緒の位置で髪がはねてるんだね、なんて話したのが最初だったっけ。その彼女が、今目の前でキッチンに立っている。……甘い香り。

「なまえ」
「ん?」
「それ、何してんの?」
「これ? クッキー」
「クッキー?」

 なんでまた急にと首を傾げると、くすりと笑いながらなまえが答えた。

「ほら、この前さ」
「うん?」
「私が幼なじみの男の子に作ったとき、俺にも作ってって言ってたじゃない」
「……あ」

 そういえば、なまえが幼なじみの男に誕生日プレゼントでクッキーを焼いたとき、ヤキモチ妬いちゃったんだっけ。……それでか。なんかちょっと情けない理由だな。
 でも、それでも嬉しいや。

「もう少しで出来るから」
「うん」

 にこにこと楽しそうな彼女の前だと、こうして俺は頬が緩みっぱなしなんだよなぁ。……もういっそ、クッキーじゃなくてさ。


 食べちゃうぞ、(可愛い君)


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