「ブーン太」
「ん? なんだよぃ」
「見て見て、この写メ!」

 ずいっと携帯を差し出すと、ブン太が元から大きな目をさらに丸くして驚いた。

「え……なまえ、結婚すんのかよぃ!」
「え!?」
「だ、だってドレス」
「……ああ! これはお姉ちゃん」

 私がブン太に見せたのは、お姉ちゃんの結婚式のドレス姿。小さい頃から顔立ちがよく似ていると言われていた私たち姉妹は、成長した今でも双子のように瓜二つ。ブン太が間違えるのも無理はない。

「な、なんだ……よかった…」
「よかったって、ブン太」
「だって俺、お前と結婚するつもりだぜぃ?」
「……え」

 膨らんだガムをぱちんと割りながらさらりとそんな言葉を口にするから、私の思考は停止した。だって今のって絶対、いわゆる……プロポーズ、だよね?

「わ、私……」
「ん?」
「花嫁修行を、頑張ります」
「おう。頼んだぜぃ」


 いつか、きっと


「先生! 私の進路、決まりました!」
「おお、やっとか! ………なんだこれ…」

 “数年先は、丸井になる予定です”

「……本当に進路調査書に書いたのかよぃ」
「うん。書いた」
「バカップルとはこういう事を言うんじゃのぅ」
「真田に怒られんぞ…」


[ back ]