最近、好きな女の子が出来たんだけど。これがまた残念な事に他校生で、なかなか会えないんだ。試合のときに応援に来ていたのを見て好きになったから、きっとあの子も女子テニス部とか、もしくはマネージャー関係なんだろうな。少しだけ話したけれど、良い子だったなあ。

「また会いたいC……」
「誰にだ、アーン?」
「んー、跡部には絶対教えないC」
「……ああそうかよ」

 部活が終わって帰り際に呟いたら、跡部が話しかけてきた……けど、秘密にしておいた。機嫌損ねて帰っちゃったけど、まあいっか。

「あーあ……この辺で会えたりしないかな」
「……あ!」
「え?」


 あら、こんにちは


「やっぱり、慈郎くん」
「なまえちゃん!」

 うそだ。夢かな? 俺もしかして、歩きながら寝てたのかな。でも今目の前にいるなまえちゃんって、本物だよね! マジマジ可愛Eー!
 どうしようこの状況。いきなりデートに誘ったりしたら変、だよなぁ…。

「慈郎くん」
「あ! な、何?」
「そこのお店ね、クッキーの専門店なの。もし甘いの好きだったら、一緒にどうかな?」
「!」

 まさか、なまえちゃんから……夢じゃ、ない!

「行く行く、絶対行くC!」

 俺甘いモン大好きなんだ、なまえちゃんの次に!

 心の中で言ったつもりだったのに、口から出てしまっていたと気付いたときには、なまえちゃんはぼんっと煙が出そうなほど真っ赤になっていた。


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