「あ……もう寝てたんだ」
ウチが作業してる間に寝ちゃうなんて、ずいぶん呑気だね――そう言われて、まだ開ききらない目を擦る。
「だって、眠かったんだもん」
「眠いのはウチの方。昨日は寝ずにモスカの調整してたんだから」
大きな欠伸をするスパナに、つい頬が緩んでしまう。我が彼氏ながら、かっこいい……などと惚気たくもなる。
「スパナ」
「何? ウチは寝る…眠いんだ」
「え、え? スパナ?」
彼は作業服のまま、私が寝ているベッドへもぞもぞと潜り込んだ。
ね、寝ぼけてる……?
「……んん…なまえ」
「なななな何?」
「もう少し…こっち来て……」
「え、わっ…」
なんとなく恥ずかしくなってベッドの中で距離を置いていると、スパナに腕を引かれて抱きしめられる。
あれ? 本当に寝ぼけてるのかな……。
「なまえ…」
「?」
「ウチ、なまえが好きだ」
「へ」
こんなハッキリとした愛情表現、滅多にないのでは……? 突然の告白に固まっていると、当の本人は私を抱きしめたまま気持ち良さそうに寝息を立て始めていた。
「……あ、れ?」
「ん……なまえ…」
……まぁ、徹夜明けだしね。今日は抱き枕にされても我慢するか。
「私はさっきまで寝てたから、眠くないな」
「……」
「スパナ寝てるよね?」
「……」
「暇だしお腹減ったし、飴もらっちゃお」
「駄目」
「!!!」
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