今日の分の仕事と報告を終え、なまえが待つ部屋へと戻る。彼女は奥の部屋の布団に包まって寝息を立てていて、起こすのは少々気が引けた。

「もう寝てるの、なまえ」
「……ん…」

 せっかく早めに仕事を切り上げたというのに、それでも時間が遅すぎたか。リビングへ行くと、真っ白なテーブルクロスが掛けられた食卓に、ラップが掛かった料理が並んでいる。その隣には、“温めて食べてね”と書かれた淡いピンク色のメモが置かれていた。

「……恭弥…?」
「あれ、起きたの」

 振り向くと、目を擦りながら立っているなまえがいた。寝起きの彼女は、若干ふらつきながら「ご飯温めるね」と言って、皿をレンジまで運んでいく。転ぶのではないかと心配な僕も後ろをついていき、他の皿を運んだ。

「それで全部?」
「ん」
「ありがとう」

 並んでソファに座って料理が温まるのを待つ間、互いの肩にもたれるように身を寄せる。そういえば綱吉から聞いたけれど、確か今日は“いい夫婦の日”だとか言ったかな。久々に、2人揃って眠るのも良いだろう。最近はずっと、僕が遅くなるから先に1人で寝かせていたし。

「なまえ」
「何、恭弥?」
「今日は一緒に寝よう」
「……なぁに、急に」
「別に」

 ぐっと肩を抱き寄せて、艶めく髪にキスをした。


 11.22


「もう……どうしたの、急に」
「なまえ、愛してる」
「今夜はずいぶん甘やかしてくれるのね」
「たまには…ね」


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