「ガハハー! ランボさんは眠いぞ! ツナっ、枕になれっ」
「は!? 何言ってんだよ、枕ならちゃんとあるだろ? 勝手に寝ろよー!」
「む……ランボさん、あんな枕じゃ寝れないもんねー! なまえーっ!」

 笑顔でぽてぽて走ってくるのは、小さな小さなランボくん。うざいって皆から馬鹿にされるし、いたずらばっかりするけれど、本当はすごく良い子なんだ。

「どうしたの?」
「んとねー。オレっち眠いのに、ダメツナが枕してくれない!」
「勝手に寝てろって言ったろ! なまえちゃんの所に逃げるなんて卑怯だぞ!」
「いいよ、ツナ。ランボくんは私が見てるから。そろそろ獄寺くんが来る時間でしょ?」
「そうだったー! ごめんね、なまえちゃん! ありがとう!」

 真っ青な顔で逃げるように走っていくツナを見て、苦労してるな……と思ってしまう。……そういえば、なんだか膝が重いような。

「むぐ……ん、ダメツナー……」

 もう寝てる!
 でも、可愛いなあ。髪の毛ふわふわ……ん? え、これって……。

「ランボさん……強いんだ、もん、ねー…」
「えっ、ちょ…ランボくん! 寝ぼけてる…!?」


 ――ドォン!


「けほっ…けほ……」
「やれやれ、また昔の俺がバズーカを……おや、なまえさん。大丈夫ですか?」

 爆発の後、一気に重みが増した膝の上には――大人ランボくんの顔が。

「わっ」
「……そんなに仰け反らなくても何もしませんよ」

 苦笑したランボくんが膝から起き上がり、そのまま抱きしめられる。大きくなった彼からは、ほんのりと甘い香水が香っていて。

「ランボくん、大人になると良い匂い」
「……なまえさんの方が甘い香りがしますよ」

 そう言って優しく口付けられた瞬間、再び煙が立ち込めて、小さなランボくんが戻ってきた。

「あれー…? オレっち寝てたー?」
「う、うん」
「んー? あららのら、なまえ風邪ひいたー? 顔が真っ赤だぞー!」
「えっ」
「ランボさん治してあげるもんね! 風邪なんか、ダメツナにとんでけ!」

 私の頭を小さな手で撫で、ツナの部屋の方向へと手を振り、「ガハハ、これでもう大丈夫だもんね! ランボさんすごいだろー!」と得意げに言うと、飴玉をいくつか掴んでそのまま遊びに出かけてしまった。


 熱が出たのは君のせい


「大人になったランボくんのせい」
「……くぴゃ?」
「なっ、ランボ! またなまえちゃんに何かしたのか?」
「!? ラッ…ランボさんほんとに知らないもんねー!」


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