「なまえ、なんか今日可愛いな?」
「ふへ!?」

 武が突然褒めてくれた。どどどどどうしたの武、何があったの武! 私に対して可愛いだなんて!

「いや、服とか……髪型とか化粧とか? いつもより気合い入ってねーか?」

 爽やかな笑顔で図星を突かれる。だって今日は、やっと長期任務が終わって久し振りに隼人や皆に会える日だから…!
 ……武って、こういう変化に気付いてくれるタイプだったんだ。

「ふーん。いーんじゃね? 早く獄寺の所に行ってやれよ!」
「うん!」

 武に手を振り、隼人の元へ向かう。途中、骸にお茶に誘われたり、骸に散歩に誘われたり、骸に後をつけられたりしたけれど、なんとか辿り着いた。

「隼人」
「おお、なまえ。戻ったのか」
「うん! 久し振り」
「ああ……あ。今から10代目が来るから、話はその後な」
「……うん?」

 話? 私は特に話はなかったけれど。隼人から何かあるのかな?

「獄寺くん、書類なんだけど……」
「10代目! これです、お待たせしてすみません!」
「いや、早くてびっくりしてるよ。もっとゆっくりやっていいのに」

 苦笑しながら言うツナに、隼人は「そうはいきません!」と反論する。

「あれ、なまえちゃん! 戻ったんだね、おかえり」
「ただいま。久し振り、ツナ!」
「あっ…じゃあ、タイミングが悪かったね。なまえちゃんの用が済んでから来ればよかったよ」

 ツナは少しだけ顔を赤くして謝った。気にしないでと言ったけれど、そそくさと出ていってしまう。

「いっちゃった……」
「なまえ、本題だ」
「え?」
「お前、そんな格好でマフィアのアジトに入ってくんな」
「へっ?」

 気が抜けて変な返事をする。次の瞬間、私の視界には隼人の顔と高い天井が広がっていた。押し倒されたと理解するのに、そう時間はかからなかった。そして、何か言葉を発する間もなく少し荒々しいキスが降ってくる。

「は、やと」
「……こういう目に遭っても文句言えねーぞって言ってんだよ」
「!」

 そのまま朝まで寝かせてもらえないことになったのは、また別の話。



「獄寺くん、昨日タイミング間違ってごめんね……」
「いえ、むしろ早めに来ていただけて助かりました!」
「? そう? なんかいつも以上に元気だね」
「はい!」


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