「なまえ、ただいま…」
「綱吉!」

 今朝突然現れたリボーン君により、誕生日だというのに修行に引き摺られていった綱吉。今日中に帰ってこられるとは思っていなかったから、とても嬉しい。
 これでもかという勢いで抱きついた彼の身体は細身ではあるものの、特訓のおかげで逞しくなってきたのは確かだ。それでも僅かによろめいたが、私を抱き留めてくれる。

「…っと。なまえ、今日はごめんな? リボーンのやつ急に…」
「ううん、修行も大事だもん。お疲れさま」
「……ありがとう」

 やっと笑った綱吉にもう一度ぎゅっと抱きついて、リビングの椅子に座らせる。そして、彼がいない間にこっそり準備したケーキやプレゼントを出した。

「わ、これ……全部なまえが?」
「もちろん! ケーキも、綱吉がいない間に私が作ったんだよ」
「ありがとう、なまえ」
「うん! ケーキ食べてみて。口に合うといいんだけれど」

 丁寧にケーキを切り分け、綱吉に渡す。小さな皿を数枚出して、リボーン君たちの分を分けてラップを掛けた。それを見た綱吉は「2人分にしては大きいケーキだと思ったんだ」と笑った。

「綱吉、美味しい?」
「美味しいよ! なまえがケーキ作れるだなんて、知らなかったよ」

 本当に美味しそうに食べてくれるので、嬉しくて頬が緩んでしまう。

「あ……そういえばこのプレゼント、今開けてもいいかな?」
「もちろん。開けてみて!」

 どうぞと促すと、小さな包みを破らずそっと開いていく。その中の細い箱から出てきたのは、Xを象ったシンプルなネックレスだった。

「……X…」
「綱吉にプレゼントなんて初めてだから、何がいいかなって探していたら……イニシャルネックレスの棚にそれがあったの」
「それで、X?」
「頼りにしてるね、10代目」
「なっ、なまえまで!」

 ネックレスを手に取って綱吉につけてあげると、とても似合っていた。マフィアにはならないと言いつつも、自分の胸元に輝くXのトップを眺めて微笑む横顔に、頑張ってね、と囁いてキスをした。

「マフィアはマフィアでも、あんな仲間なら…悪くないと思うけど?」
「……うん、ありがとう」

 もう少し、頑張ってみるよ――綱吉は照れたように笑った。



「なまえもボンゴレに入るか?」
「うわっ、リボーン! いつの間に、ってかなまえを誘うなよ!」
「ふふ、面白そう。でも私戦えないよ」
「ツナの秘書なんかどうだ?」
「なまえが俺の秘書ー!?」
「あ、それいい」
「なまえ!?」


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