「骸、まだ起きてる?」

 なまえが部屋へやってきた。こんな時間に彼女の方から訪ねてくるのは久々で、なんとなく意識してしまう。

「……起きていますよ」

 静かにドアを開けると、泣きそうななまえの顔があった。

「どうしました? さぁ、中へ」
「……うん」

 部屋へ通してドアを閉めると、なまえが突然抱きついてきた上に、泣き出してしまった。優しく背中を擦ってやりながら話を聞けば、犬が怖い話を聞かせてきたとか。千種が「なまえは怖い話が苦手だし、もし泣かすようなことがあったら骸様に殺されるよ」と忠告はしていたらしいが。まったく、犬は明日どうしてあげましょうかね。

「ほらほら、なまえ。大丈夫ですよ、今夜は落ち着くまで僕がついています」

 ドアの前で座り込んでしまっていたなまえを抱き上げ、そっとベッドへ下ろし、隣に座って頭を撫でる。

「む、くろ……今日、骸と寝ても、いい?」
「もちろん。朝まで抱きしめていてあげましょう」


 怖がりなあなた


「朝まで……我慢できますかね、」
「?」
「こちらの話ですよ。おやすみなさい、なまえ」
「? おやすみ…」


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