今日もいつも通り草食動物を咬み殺し、応接室へ戻る。何となしにソファの上に目を向けると、何かが丸まっていた。
「……なまえ」
静かにその小さな膨らみに近づいて覗き込めば、それは僕の彼女のなまえだった。そっと頭を撫でてやると髪がさらりと流れ、長い睫毛が僅かに震えた。
「なまえ、起きなよ」
「………ん」
「また帰りが遅くなる、って文句言うのはなまえでしょ。送るから早く起きなよ」
「………」
何度か声をかけるが、起きる気配は全くなくぐっすりと眠っている。深い溜息を吐き、なまえの向かい側のソファへ腰を下ろすと、肩にとまったヒバードを指で撫でた。
「きょ……や」
「?」
名前を呼ばれた気がして顔を上げる。なまえが寝返りを打って、こちらを向いていた。薄く開いた唇からは、その後も何度か僕の名前が漏れる。それを聞くたびに、自分でも分かるほどに口角が上がった。額に口付けてやると、また唇が動く。
「恭弥……すき、」
「…僕は――」
君の寝顔まで、愛してる
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