「そこにいるの、誰さ?」
「……あ。バレた」
「なまえか。入っていいさ」
許可をもらって部屋に入った瞬間、視界が真っ暗になった。
「わっ…ラビ?」
「なまえ、会いたかったさ」
抱きしめられて、ラビの匂いに安心する。かたい胸板に顔を押し付けられて、ちょっと苦しいけれど。
「ラビ、苦しい」
「ああ、ごめん…」
力が緩んだ腕の中でラビを見上げると、少し切なそうな顔をしていた。そんな顔を見るのは久し振りだったから、私まで酷く不安になってしまう。
「ラビ? 何かあった?」
「……いや。最近会えなかったから、ちょっと安心しただけさ」
何事もなかったかのように笑ってごまかすラビに、胸がぎゅうっと締め付けられる。
「ラビ」
「ん?」
「無理はしないで」
「……え」
「何かあったなら、私にくらい甘えていいよ」
「……なまえ」
「泣いても、いいんだよ?」
その瞬間、ラビの目尻からは一筋の涙が零れ落ちた。彼は力なく私を抱きしめた――いや、私が彼を抱きしめてあげていた。
「…ごめん」
「ん?」
「今だけ、泣いていいか?」
「うん」
ラビは本当は今、不安定で、脆くて……ぎりぎりな状態で戦っていたんだね。任務で何があったかは聞かないけれど、あなたを崩してしまうほどの何かがあったんでしょう?
「………なまえ」
「なぁに」
もう少し、このままで
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