私は、今年教団に入ったばかりのエクソシストだ。今日は特に任務もなく、自室に篭っていた。何もする気にはなれず、薄暗い部屋の中でぼんやりとしていたら、気付けばもう真夜中だった。まずい、本当に掃除とか何もしていない……。

「ご飯食べそびれちゃった……もう夜中だもの、ジェリーさんも寝てるよね…」

 わざわざ起こすのも悪いので眠りに就こうとしたそのとき、勢いよくドアが開いた。

「ただいま、なまえ!」

 愛しい人の声が聞こえた。もう何日…いや、何週間会っていないだろう。そんな彼が、そこに立っている。

「なまえー…? どうかしたんかー? おーい」

 彼は私の顔を覗き込み、顔の前で手をひらひらさせた。任務に出ていく前と全く変わらない姿に、思わず涙が溢れてしまう。

「なまえ? ……あ。さては寂しかった?」

 憎たらしいほどニコニコしながら、私の頭に手をのせてくる。そーよ、寂しかったのよ。

「ラビ」
「んー? おっと、」

 にやけ続けている彼に思い切り抱きつけば、危な気なく抱き留めてくれる。

「急にどうしたんさ?」
「……寂しかった」
「知ってるさ」
「抱きしめて」
「もうしてるさー」
「もっと」
「……りょーかい」

 互いを抱きしめる腕の力が、ぎゅっと強まる。なんだか何十年も離れていたような、酷く懐かしくて愛しい気持ちでいっぱいになった。

「好きさ、なまえ」
「……ラビ」
「愛してる」
「ラ……んっ…」

 ラビ、と名前を呼ぶ前に、私の口は塞がれてしまった。息の仕方を忘れてしまいそうなほどに長い長いキスの後、彼は私をお姫様のように抱き上げた。こつんと額をくっつけて、くすくすと笑い合う。

「なまえ」
「ラビ、だいすき」
「分かってるさ」


 もう二度と、離れられないくらいに
 あなたでいっぱいにして


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