あああ……どうしよう……。
「……何してるんですか? なまえ」
「あ、え……うん。えっと…」
「?」
今日は最愛の恋人である、ラビの誕生日。もちろん彼女である私からのプレゼントや料理や……そういうものを期待していることだろう。
なのに、肝心のプレゼントも料理のメニューさえも、何も決まっていない。こんなことなら料理だけでも、リクエスト通りに何でも作れるように練習しておくんだった!
「なるほど……それは大変ですね、なまえ。そうか、ラビの誕生日は今日だったんですね」
アレンはにっこり笑い、「僕はこれから用事があるので」と逃げていった。今知ったようだったし、彼も何も考えていないのだろう。神田あたりに相談しに行ったに違いない。ああ、私もどうしよう!
「頭なんか抱えて何してるんさ、なまえ。具合でも悪いんか?」
「わっ!」
ほ、本人が! 慌てたら不自然だよね、冷静に冷静に――。
「らっ…ラビ! 何か欲しいものある!?」
「へ?」
しまった、直接思いっきり聞いてしまった。これじゃプレゼントに悩んでいることが丸分かりじゃないのよ……ラビもきょとんとしてるし…!
「えと、今のは気にしないで」
「……なまえ」
ゆっくりこちらへ歩み寄るラビの口元は、緩んでいる。プレゼント決まってないのバレちゃったかな……ああ、怒ってる? それとも呆れてる?
「いらないさ。なんにも」
「え?」
「誕生日のプレゼント、だろ?」
「う、うん…」
「俺は、なまえがいれば充分さ」
締まりのない笑顔のラビに抱きしめられ、プレゼント探しに慌てていた自分が馬鹿らしくなってしまった。そっか、気持ちが込もっていることが大切だよね。プレゼントが思い付かないなら、気持ちをたくさんあげればよかったんだ。
「ラビ、大好き」
「ん。」
「すごく好き!」
「……ん」
「ずっと、傍にいてね」
「分かってるさ」
「私の気持ち、通じた?」
「充分すぎるくらい、嬉しい気持ちをたくさんもらったさ」
「ふふ。ご飯はラビの好きなもの、頑張って作るからね」
Happy birthday, Lavi !
私がプレゼントもらっちゃった気分だけどね
「やっぱり、なまえに敵うプレゼントはなかったみたいですね」
「……ああ」
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