先輩っ! と聞き覚えのある可愛い声に呼び止められて、振り向いてみる。そこにはもちろん、予想通りの人物がいた。

「千代だー! おはよ!」
「おはようございます! ……あの、」
「ん、何?」

 可愛い後輩に挨拶をして、何か用があるらしいので話すよう促す。また部のことで何か相談かな、なんて思っていたら。

「先輩すきですっ」
「……へ?」

 この子まさかそんな趣味が……いやいやそんなはずは! とりあえず、いきなりどうしたの? と若干動揺しながら聞いてみる。

「えへへ。ちょっと早いけど、誕生日とバレンタインのプレゼントです」

 先輩、明日誕生日でしょう?――差し出されたプレゼントを受け取る。そういえば明日が誕生日だけれど、休日か。ああ、だから今日くれたのね。

「ありがとう、千代」
「わわ、せ、先輩っ!」
「愛してるわ〜!」

 抱きしめてぐりぐりと頭を撫でてやる。ここ廊下だけどまあいいや。

 ちょっとびっくりしたけどね。

「先輩苦しいですっ」
「あ、ごめんごめん!」


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