さくさくと音を立てて、雪が積もった校門までの真っ白な道を歩く。見慣れた赤いマフラーが目に入ると、「やべ…」と呟きながら駆け寄った。

「なまえ!」
「あ、修ちゃん!」
「悪い。先生の話長引いて……お前、かなり待ってた…よな?」
「ううん、今来た」
「……ったく、鼻と頬真っ赤にしてるくせに嘘つくなよな」

 これはだいぶ待たせたなと思いながら、なまえの冷えた頬に手を添える。そのまま顔を寄せて、こつんと額を当てた。前髪も額も冷くて、頭の上には少し雪が積もっている。片手で抱き寄せ、もう片方の手で小さな手を握ると、氷のように冷たかった。

「お前、この前買って喜んでたふわふわしてる手袋は?」
「忘れちゃった、家に」
「………」

 忘れちゃった、って…こいつは。なんでまた雪が降る日に忘れんのかな。

「ほら」
「え?」
「手出せ、早く。繋いでやるから」
「…うん!」

 嬉しそうに笑うなまえの手をしっかりと握る。片手しか繋いでやれないけれど、何もしないよりはいいだろう。

「修ちゃん」
「ん?」
「寒いよ」
「………」

 信号待ちで、なまえは俺にぴったりとくっついてふるふると震えた。繋いでいる小さな手が、俺の手を少し強く握る。……なんだよ、可愛いじゃんか。

「……なまえ」
「ん? ……っ」

 周りの人にキスしてるって気付かれないように、唇じゃなくて頬に一瞬だけキスをした。その頬はやっぱり、冷たかったけど。


 今、頬が赤いのは(きみのせい)


「なまえ、顔赤いけど大丈夫かよ?」
「う、ん」
「………(ほんと今日可愛いな)」


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