「準さーん!」
って嬉しそうに準さんの元へ走っていく、あの子。俺の大好きな、大好きな大っっ好きな子。……彼女じゃないけど。あいつ準さんのこと好きなのかな、やっぱり。
「おー、久し振り」
「ずっと迷ってたけど、マネージャーになっちゃおうかな……マネジ少なくて大変みたいだし、準さんたちに会えるし!」
「ん? なってくれんなら助かるけど」
「そうだな、うちは部員も多いし」
ああ、和さんまでそーやって頭撫でて! 俺の頭なんか、べしっと叩いたりするくせに! 準さんもだよ、俺あいつの頭撫でたことなんてないのに…。
「りお、りおー!」
「っ何?」
それでも俺の方に走って来てくれると、テンションが上がる俺。我ながら単純すぎでしょ……素直に嬉しいからいいんだけど。
「私、明日からマネジになるー! でも今日は用事あるから、じゃあね!」
手を振って走り去る彼女。と同時に、俺の肩を叩く人が左右から1人ずつ。
「……いーですねー。準さんと和さんはあいつに懐かれててっ」
「は? 何言ってんだか」
「あいつが好きなのはお前だろ? 利央」
「………へ?」
「なんだ、あんなに近くにいるのに知らなかったのか」
「あんな必死に隠してて、かわいーのに」
ぷっ、と2人してグローブに顔を埋めて笑う。失礼な。ていうか今のが本当だったとしたら、俺は両想いのままずっと想い続けてたってことなの? そうだよね!?
「……ま、頑張れ……くくっ」
「もう笑うのやめてくださいよ! 準さん」
明日ぜーったい、言ってやんないと。
俺はきみのことが大好きです
「準さん準さんっ」
「ん? なんだ利央か」
「なんだって何すか……あ! あいつに手出さないでくださいねっ」
「……はいはい…ぷっ」
「笑うのやめてくださいってば! その顔も!」
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