「お姉…ちゃん?」
「なまえ、もう大丈夫ヨ。お姉ちゃんがついてるアル」
なまえは小さい頃から病弱な、私の妹アル。あまり外へ出てはいけないと言われていたけれど、私について来てしまって――いや、私が連れて来てしまって――今はこの万事屋で、銀ちゃんたちと一緒に過ごしているアル。
「もうすぐ治るネ! こんな病気、すぐにどこかに飛んでいって治るアル!」
「ほんと? お姉ちゃん」
「本当アル! ね。銀ちゃん、新八!」
「あ…うん、そうだよ!」
「……そうだな。すぐ治っちまうぜ、そんなモン。ちょいと治るのに時間がかかった腹痛みてェなモンだ」
「そっかぁ」
嬉しそうに微笑むなまえは、綺麗なのに哀しげで。笑顔なのに、泣いているようでもあった。
――きっとなまえは、嘘だと気付いている。
銀ちゃんも新八も、私のなまえへの思いを尊重してくれているから、私の言う事を肯定してくれるけど。きっとなまえは、分かってるアル。
「なまえ、今日はもう寝るネ。明日目が覚めたら、病気なんて吹っ飛んでるアル!」
「ほんとに?」
「本当アル。つらい咳も高い熱も、なまえを苦しめるものは私が吹っ飛ばしてやるネ!」
「お姉ちゃん、強いもんね」
「もちろんアル!」
例え、気休めに過ぎなくても。
パピーもどこだか分からない今、この子が頼れるのは私だけ。
だから私が、なまえを守るアル。
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