僕の姉さんは、よく笑う人です。いつだって、何があってもニコニコと笑っていて、友達も多くて。

「サイ。起きてる?」
「起きてますよ、なまえ姉さん」
「じゃあ入るわよ」

 明るい声で部屋のドアを開けた姉さんは、いつものように微笑んでいた。階段の下からは、ナルトくん達の話し声が聞こえてくる。もう皆来ているのか…。

「もうナルトくん達が?」
「ええ、来てるわ。皆面白くて、いい子達ばかりね」
「……そう、かな」
「そうよ。あなたにあんな楽しいお友達が出来るなんてね……大切にしなくちゃダメよ?」
「友達……」
「ね?」

 姉さんが話すのを見て、本当に喜んでくれているのが分かった。とりあえず習った通りの笑顔を返すが、やっぱり自然に笑うのは、僕にはまだ難しくて。

「作り笑いなんてしなくていいのよ」
「……作り笑いだなんて」
「私はあなたの姉なのよ? 本物の笑顔くらい見分けがつくの。無理しなくていいから、楽しいと感じたら笑いなさい」
「楽しい……?」
「そう。自然に笑える日が来るわ。あんなに楽しいお友達が居るんだもの」

 行きましょうと手を引かれれば、下からナルトくん達が「サイー!!」と叫んでいるのが聞こえてきて。なんだか心の中に温かいものが広がっていく気がして、自然に口元が緩んだ。



「サイ、遅ぇってばよ!」
「ナルトくん、君は相変わらずですね」
「……サクラちゃん、俺ってばやっぱりコイツと仲良くなんて出来ねー!」
「落ち着きなさいよ、ナルト! なまえさん、サイくんお借りしますね」
「ええ。この子こんな性格だけど、よろしくね? 二人とも」
「……なまえ姉ちゃんはサイと違って可愛いってばよ」
「ナルト、あんたは黙りなさい」


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