「ごほっ、げほっ……はあ…」
風邪を引きました。喉は痛いし咳は止まらないしで、朝からずっと布団に包まっている。
「なまえ、大丈夫ですか?」
ゴホッと咳をしながら部屋に入ってきたのは、私の兄さんのハヤテ。彼は風邪を引いているわけではなく、普段からこうなんだけれど。兄さんの手には、水の入った桶と濡らしたタオル、それに湯気が立つお粥があった。
「起きられますか?」
「うん……」
「さあ、お粥です。作りたてですから冷めないうちにどうぞ」
レンゲでお粥を掻き混ぜて少しずつ熱を逃がし、私が火傷をしない程度に冷ましてくれる。私が猫舌な事、覚えててくれたんだ。
「ありがとう、兄さん」
「いいえ。それから、さっきナルト君達が見えましたよ」
「え、ナルト達が?」
「お見舞いに、と言うので私が受け取っておきました。これです。皆さん心配してましたよ、なまえ」
手渡された袋の中を見ると、カップ入りの餡蜜がたくさん入っていた。
「……治ったら食べなくちゃ」
「そうですね。早く治しましょう」
兄さんは優しく微笑んで、私の頭をゆるりと撫でた。
「兄さん、お粥ありがとう」
「いえ。さあ、あとは寝ててください」
「うん」
「あ、薬は飲んで下さいね」
「うん。分かった」
[ back ]