ボクの姉さんは、なまえといいます。優しくて綺麗で、大好きな姉さん。ボクの事も、再不斬さんに拾ってもらうまでずっと一人で育てて守ってくれていた。けれど、少し前にかかってしまった病気が、なかなか治らないのです。

「なまえ姉さん、おはようございます」
「ええ、おはよう。今朝はいつもより早いのね、白」
「今日はちょっと、花を摘みに行っていましたから」
「花?」

 小首を傾げる姉さんに、今朝かごいっぱいに摘んできた花を見せる。ふわっと香る甘い匂いに、姉さんは、わぁ、と小さく声を上げた。

「いい匂い」
「でしょう? 昨日見かけたんですが、香りがよかったので摘んできたんです」
「素敵……色も淡くて、綺麗ね」
「なまえ姉さんが気に入るだろうと思って。ベッド脇にどうですか?」
「ええ、お願い」

 姉さんに笑いかけ、淡い桃色の花を花瓶の中に生ける。それをベッド脇のサイドテーブルに置いて、姉さんのベッドを整えた。

「さぁ、なまえ姉さん。これで今日は一日、気持ち良く眠れますよ」
「ええ。ありがとう」
「……これから、再不斬さんから姉さんの分の朝食をいただいてきますね」
「ん…ありがとう、白」

 姉さんが微笑んだのを確認してから部屋を出たボクは、再不斬さんの所へ向かった。



「なまえ姉さん、朝食を……あれ?」
「…………ん…」
「……寝ちゃいましたか」


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