うちにはシカマルの1つ下に、娘も1人いる。自慢じゃねェが器量もいい、おまけに誰に似たんだか、学校じゃ結構優秀な方だ。俺やシカマルの真似をして印を結んだりしているうちに、木ノ葉秘伝の影縛りまで覚えちまって…今じゃ兄貴と並んで上忍だ。

「お兄ちゃん、待ってよ」
「遅ェよ、なまえ」

 薬剤が詰まった重そうな荷物を持っているなまえは、シカマルの後ろをよたよたとふらつきながらついていく。……あンの野郎、

 ――ゴンッ

「っ痛ぇ…! 何だよ、急に!」
「可愛い妹が重い荷物運んでんの見て、何とも思わねーのか! お前は!」
「……わ、分かったよ」

 めんどくせーと言いながらも、シカマルはなまえの荷物を全て持ち、すたすたと歩いていった。なまえはぼーっと突っ立っていたが、すぐにハッとしてこっちを向く。

「ありがとう、お父さん。重かったの」
「女があんな重労働なんかしなくていいんだぜ。つらいと思った時には容赦なく兄貴を使え」
「ん、わかった!」
「おい、置いてくぞ!」

 痺れを切らしたシカマルが遠くから声をかけてきたので、なまえは慌てて駆けていった。

 今思えば、可愛い娘が忍になっちまった事は少しばかり寂しいが。シカマルが一緒なら大丈夫だろう、とりあえず。
 そうぼんやりと考えつつ、「綱手様、お荷物です!」と叫びながら階段で躓くなまえと、それを呆れ顔で支えてやるシカマルを見送った。



「だいたい、なまえは危なっかしいんだよ」
「そ、そんな…綱手様まで……!」
「まったくだぜ。おかげで俺は気が気じゃねーんだ」
「ほう? シカマルはそんなになまえの事が心配か。そうかそうか」
「………(墓穴掘っちまった)」
「なまえに対する態度は父親そっくりだな、甘やかしおって」
「…………」


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