ある晴れた日の、木ノ葉の里で。

「しゃーんなろー!」
「落ち着いて、姉さん」

 吠える姉を落ち着かせようと、妹であるなまえは、姉・サクラの背中をひたすら摩っていた。
 なんでも今日は、いのちゃんとの“サスケ君の隣の席争奪戦”に負けたらしい。次こそはと募る思いが、姉を吠えさせているのだろう……。ふと前を見れば、サスケ君が前方を歩いていくのが見えた。

「あ。姉さん、サスケ君」
「え、嘘! どこ!?」
「………前」

 ガバッと顔を上げてサスケ君を見ると、サッと髪や服を整えて走っていく。そして僅か数秒後、とぼとぼ歩いて戻ってくるのだった。

「姉さん…? どうかした?」
「一緒に帰らないか誘ったら、これから修行だって。行っちゃった」
「次があるわ、姉さん」
「なまえ……ありがとう」

 お礼とともに抱きつかれて、姉さんは本当にサスケ君が好きなんだと、少し微笑ましい気持ちになった。
 私もこんな風に想える人が出来たら、姉さんのように、好きな彼の言葉に一喜一憂したりするのだろうか。

「……まだ、そんなの想像出来ないや」
「え?」
「ううん、何でもない。一楽に寄ろ? お腹空いちゃった」
「そうね。行きましょ!」

 姉妹仲良く手を繋いで一楽へ行ったら、サスケ君も修行の前に昼食をとるために一楽に来ていた。まんまとサスケ君の隣の席をゲット出来た姉さんに、後から激しく感謝されたのは言うまでもない。



「なまえのおかげでサスケ君に会えた。少しだけど話も出来たし…ありがと」
「うん。よかったね!」
「明日いのに自慢してやるわ……!」
「……姉さん、燃えてる」


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