私の弟は、酷い面倒くさがりです。一体誰に似たのかしら。いつもいつも「めんどくせー」とばかり言っています。今だって、ほら。それにしても、朝から気の抜けた顔してるわね。まだ目が覚めないのかしら。

「………めんどくせー」
「何かあったの?」
「昼から任務」
「………」

 またこの子は。任務なら仕方ないじゃない、頑張って行ってきなさいよ。母さんも呆れた顔でシカマルを見ている。シカマルは怠そうに頭を掻き、朝食の焼き魚に手を伸ばした。

「……鯖の味噌煮じゃねーのかよ」
「あら、鮭の塩焼きじゃ不満?」
「不満じゃねーけど……」

 鮭の身を箸でほぐして口へ運び、飲み込んだ後に一言。

「なまえが作る鯖の味噌煮、美味ェからよ」

 ……そんな事言われたら、嬉しいじゃない。今日は八百屋さんのついでに、魚屋さんで鯖でも買ってこようかな。

「シカマル」
「んあ?」
「今日の晩ご飯、シカマルが好きな鯖の味噌煮にしてあげる」
「……ああ」
「ただし! 任務は成功させて帰ってくる事。いいわね」
「……おう」

 この子は本当に、ゲンキンだ。



「じゃ、行ってくる」
「ん。行ってらっしゃい」
「……忘れんなよ、鯖の約束」
「はいはい」


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