「はぁあーっ!」
「ギャァァ!」

 たった今目の前でルフィの脇腹に凄い勢いで飛び蹴りを喰らわせたのは、俺の妹のなまえだ。どうやらルフィは、なまえが楽しみにしていた菓子(作ったのはあのアホコック)を食っちまったらしい。

「ん、どうしたんだい? なまえちゃん。ご機嫌ななめだな」
「ルフィが、さっきサンジがくれたお菓子食べちゃったの」
「何だと!? あれは俺が主になまえちゃんやレディー達のために汗水垂らして作った…! だいたい、お前の分はちゃんと分けてあっただろうが、ルフィ!」
「だ、だから…すぴばせんでひた」
「問答無用だァア!」
「ギャァァ!」

 ルフィのやつ、今日は災難だな。まだ昼前だってのに、すでにボコボコになってやがる。なまえはなまえで相当ショックだったのか、泣いてやがるし……ったく、仕方ねェな。

「なまえ」
「っう、お兄ちゃん?」
「俺の分やるからもう泣くな」
「え?」
「昼メシもどうせもうすぐだしな。そんくらいくれてやる」
「お兄ちゃん…」
「ほとんど手ェつけてねェからよ。文句ねェだろ?」
「うん、ありがとう!」

 ニッと笑って頭を撫でてやると、笑顔で菓子を食べ始めた。俺はその隣に腰を下ろして、また昼寝に勤しむのだった。



「あー! てめェ、マリモヘッド!」
「………あァ? 朝か?」
「朝か? じゃねェ! 何でお前がなまえちゃんの天使のような寝顔と寄り添ってお昼寝してんだ、コラァア!」
「寄り添って……? ああ、なまえも寝てたのか」
「ん…お兄、ちゃん……」
「おい、起きろ。メシだとよ」

「なまえー! メシだぞー!」
「やったー! 今日こそはルフィより食べるから!」
「おう、やってみろ!」
「……あいつらさっきまで喧嘩してなかったか?」
「さァな」


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