今日は仕事も早く終わり、たまには妹の相手でもしてやるかと思い立って家へ帰ると、そこにはシャワールームから出たばかりのなまえが居た。なまえはタオル1枚を巻いただけの状態で、「あ、おかえり!」なんていつも通り出てきた。

「おおお、お前! なまえ!」
「な、何?」
「そんな格好で玄関に出てくるんじゃない! はっ…ハレンチだ!」

 見て早々に怒鳴ってやると、呆れたような顔で説教を聞く。まったく……第一、今家に入ってきたのが俺じゃなかったら、どうなっていた事か。

「あ、お兄ちゃん。そういえば、さっきアイスバーグさんから電話があったよ」
「アイスバーグさんから?」

 着替えようとしていたが、慌ててもう一度服装を整える。もしかしたら、また緊急での仕事が入ったのかもしれない。

「何だって?」
「うん。この前仕事を受けた相手の人から、設計図を一部変更したからその部分を作り直してほしい、って言われたんだって。お兄ちゃんが担当した所だったみたいよ」

 伝言のメモを見せられて、それを受け取って目を通す。どうやら相手方からの連絡が本当についさっきだったらしく、アイスバーグさんにとっても急ぎの用事らしい。

「アイスバーグさんも急ぎみてェだし、俺はもう1回行ってくる。…しっかり服は着てろよ!」
「わかってるったら。行ってらっしゃい」

 そう言ってなまえはそのままの格好で部屋へ入っていくので、俺は多少不安になりながらも再び家を出た。



「ンマー……なまえはまたタオル1枚だったのか。困ったやつだ」
「また? またって何ですか!」
「俺がお前を探しに直接家に行ったときにも、風呂上がりでタオル1枚で居たぞ」
「……あいつめ…」


[ back ]