ここは白ひげ海賊団の船の上。今俺は一時船に戻り、波に揺られながら船室でなまえとトランプをしている。さっきからポーカーに負け続けているなまえは、俺の方を少し睨んでくる。表情から読まれまいと必死なんだろう。それにしてもこの分かりやすさときたら、まるでルフィだな。ババ抜きやってても、ババが来た瞬間に顔に出るしな。

「もう諦めたらどうだ? なまえ」
「絶対やだ、1回くらい勝ちたい」
「そういや俺に勝てた事ねェよな、お前……」
「またすぐ、黒ひげ探しに行っちゃうんでしょ? その前に1回負かしてやるわ!」
「あー、是非やってくれ」

 頬杖をつきながら、ニヤニヤと意地悪くなまえを見る。一生懸命俺に勝とうとしてカードと睨めっこしてんのなんて、可愛いもんだ。そして結局は俺が勝つんだよな。

「なまえ、悪ィな。勝っちまった」
「むむ……ルフィとなら絶対勝てるのに」
「お前とルフィじゃタイプが似過ぎて、勝負付かねぇよ」
「……エースの意地悪」

 カードを切りながら拗ねるなまえを、思いきり抱きしめて髪をぐしゃぐしゃと掻き混ぜてやる。なまえは顔を赤くして、手をぱたぱた動かして慌て始めた。

「んな暴れんなって」
「エ、エース! 離して、ねぇっ」
「照れんなよ、今更」

 なまえの髪が強風に煽られたかのように荒れているのを眺めてから、帽子を被って立ち上がる。

「じゃ、そろそろ行くかな」
「え…もう?」
「なんだよ。散々嫌がってた割には寂しそうに」
「それはエースが急に抱きつくから!」
「はは……まぁいいや、俺は行く」
「……うん」

 気をつけてね、と見送ってくれるなまえは、毎回寂しそうな顔をする。そんな顔すんな、と額に軽くキスをすると、少しだけ安心したように笑った。



「じゃあ、行ってくる」
「うん。ルフィに会ったらよろしくね」
「分かってる。なまえも風邪引くなよ」
「……そっちこそ。そんな格好で」
「ああ、気をつける」


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