「……ん? なまえ?」
「…………っく」
「何、泣いてんだ?」

 今日も松本の分まで執務をこなし、疲れてぐったりと寝ていると、隣の布団から泣き声が聞こえた。俺のたった1人の、血の繋がった家族。妹のなまえだ。俺の妹という事が幸いし、隊に入るまでの力はないものの、雑用としてこの護廷十三隊で働ける事になった。しかし俺の任務の内容が激化するにつれて、なまえは夜中に泣くようになった。

「なまえ。何だよ、どっか痛ぇのか?」
「…ゃ、……だ」
「ん?」
「行っ、ちゃ……やだ…」
「………」

 またコイツは変な夢見やがって。俺が、たった1人の妹を置いて死ねるかよ。お前にとっても、俺がたった1人の家族なんだからな。他の何を捨ててでも、なまえ……お前だけは護り抜いてやる。

「どこにも行かねぇよ」
「っく……ん……」
「泣くな、馬鹿」

 腕を伸ばしてそっと髪を撫でてやれば、安心したようにまた寝息を立て始めた。


 コイツだけは何があっても、護らなきゃならねぇんだ。俺は負けられねぇ、もっと強くなってやる。


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